プロに聞いた美味しい干物の見分け方と目利きの方法

プロに聞いた美味しい干物の見分け方と目利きの方法

朝食のアジの開き、晩酌にほっけの開き、お店で食べる鯖の開きなど…。干物は私たちにとって非常に身近な魚の加工品です。

干物は価格も品質もピンからキリまで。美味しい干物を選ぶ目利きのポイントを知って、本当においしい干物を手に入れましょう。

本記事は普段干物を扱う飲食店や小売店の仕入れに関わる方だけでなく、一般の方でも役に立つ情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

創業100年の老舗塩干品専門仲卸「瀬古」


今回お話を伺った株式会社瀬古さんは東京都江東区の豊洲市場に店舗を構える仲卸業者です。

仲卸業者はスーパーなどの小売店や居酒屋さんなどの飲食店に食材を卸売する役割を担っており、干物やしらす、いくらや明太子などの魚卵、漬魚類など「塩干品」と呼ばれる商品を専門に取り扱っています。

瀬古さんは、創業100年の歴史を持つ老舗企業でもあります。豊洲市場の前身となる築地市場のさらに前、日本橋魚河岸時代から魚で商売を営んできた、魚とともに歴史を歩んできた企業です。

今回は瀬古の三代目、瀬古和幸さんに干物の目利きの話を伺いました。

美味しい干物の目利き

良質な干物の条件は、高鮮度であり、脂ののりがよく、加工方法が丁寧で美しいこと。では、そういった良質な干物はどのように見分けるのでしょうか?

ポイント1:全体的に「丸み」を帯びているか?

瀬古さんは、「脂ののりがよく良質な干物は、見た目がふっくらして丸みを帯びている」と語ります。

比較対象として2枚の干物を比べてみました。大きさの違いはありますが、左の干物のほうが丸みがあってふっくらして見えますよね

左が島根県産のブランドアジ『どんちっちアジ』を使った高級なアジの開き、右がオランダ産のアジを使ったものです。

実際に比較する対象がないと丸みがあるかわからない場合があると思いますが、円に近い形をしているものが良いと覚えておくと良いのではないでしょうか。

取材当日に見せていただいた大きないわしの開き。これも丸みがあって美味しそうです。

ポイント2:脂ののりの見極め方は「腹」を見る

魚の美味しさの重要なポイントである脂ののり。脂ののりが悪い干物はパサパサしていて味気がなくなってしまいます。

切り身になっていればまだしも、干物のように干してある状態では脂ののりの見極めが難しそうですよね。そこで瀬古さんは脂ののりを見分けるため「腹の色」を見るとのこと。

こちらが先ほど比較した脂ののりがよく良質な干物は、腹の部分に白く脂が乗っているのがわかります。真空パックになった状態でも、こうして脂ののりをある程度判断することができるんですね。

人が手作業で開いた「手開き」と「機械開き」

干物とは、原料となる魚を捌いて腹開きまたは背開きにして塩水処理をして干し、保存性を高めた食品です。現代ではなんと魚をセットすると自動的に捌いてくれる機械も全国で広く利用されています。

現在では機械開きが主流となりましたが、瀬古さんは、あえて職人が一枚ずつ人の手によって開いた「手開き」の干物をおすすめしたいと語ります。

では、手開きと機械開きの干物はどこがどのように違うのでしょうか。そして、見分けるポイントは何か聞いてみました。

機械開きの干物

こちらが機械で開いた「機械開き」のアジの干物です。人の手で作ったかのように美しい仕上がりですね。これが機械でできるとは驚きです。

手開きの干物

そしてこちらが、人の手作業によって加工された「手開き」の干物です。違いがわかるでしょうか?

手開きの干物は、中骨に沿って付いている身が厚くなっているように見えます。これが手開きと機械開きの干物の違いです。

干物の中で旨味がぎゅっと詰まって一番美味しいとされているのは、この中骨周りの身です。機械開きではこの部分の身が削げてしまうため、手開きのほうが食べた時に美味しく感じるということだそうです。

見分け方は口を見る?

そして、干物が機械開きなのか手開きなのかを見分けるポイントは「口」にあると言います。

機械開きで作った干物は、口の部分が離れているのに対して、手開きのものは繋がっています。

おそらくこの見分け方は、毎日干物を扱うプロでないと知られていない貴重な情報です。わかりやすい目利きのポイントですね。

豊洲市場は全国一の塩干品取扱量

日本最大級の中央卸売市場である豊洲市場は、2018年10月に前身となる築地市場より移転し、新たに都民の台所として開場しました。

豊洲市場と聞くと新鮮な鮮魚や豪快なマグロのセリなどのイメージが強いかもしれませんが、豊洲市場は全国各地から干物が最も多く集まる市場でもあります。

築地市場時代の風景
築地市場時代の風景

とくに塩干品(えんかんひん)と呼ばれる、食卓を飾る干物や漬魚、魚卵などの製品は日々膨大な量の取引が行われ、小売店や飲食店などを通じて消費者のもとに届きます。

仲卸業者は各々で目利きの技術を鍛え上げ、現在に至るまで豊洲市場の信頼を守ってきました。

豊洲市場 瀬古さんの店舗までのアクセス

【瀬古】豊洲市場店舗
【瀬古】豊洲市場店舗

普段豊洲市場に足を運んでいらっしゃる方や、これから市場での仕入れを考えている方は一度瀬古さんへ足を運んでみてはいかがでしょうか。

豊洲市場は5街区青果棟、6街区水産仲卸売場棟、7街区水産卸売場棟の3つの建物に分かれており、瀬古さんの店舗があるのは6街区水産仲卸売場棟の1階、第一通路と第二通路の間、8000番店舗番号8017です。

来場する際は市場のお休みの日(休市日)にご注意ください。また、朝8時ごろまでにご来場することをおすすめいたします。

電車で来場する場合

豊洲市場へのアクセスは公共交通機関が便利です。ゆりかもめ『市場前』駅で下車し、改札を出て右手に進んでください。5分ほどで水産仲卸売場棟に到着します。

バスで来場する場合

新橋駅より都営バス【市01】系統、東陽町駅からは都営バス【陽12-2】『水産仲卸棟』バス停で下車してください。

車で来場する場合

車でご来場の場合は、豊洲市場前交差点の「千客万来パーキング」がおすすめです。

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