干しエビを見てみたらアキアミだった
きょう帰り道にスーパーの鮮魚コーナーを見ていたら干しエビを発見。美味しい干しエビはそのままおつまみにもなるしサラダや豆腐にかけてもとっても合うんですよね。
しかし多くの干しエビが『オキアミ』という種類を使っており、アキアミを使った干しエビは高級品であまり出回っていることがありません。ということですぐに購入してしまいました。
アキアミとは?
学名:Acetes japonicus
アキアミは十脚目(じっきゃくもく)サクラエビ科に属する小型のエビの仲間です。オキアミに名前が似ていることからエビではないと思われがちですが、れっきとしたサクラエビの仲間なんですね。
分布は日本国内では秋田県より南、瀬戸内海や富山湾、三河湾、有明海などが産地として知られています。海外では韓国、台湾、その他東南アジアなど南シナ海及びインド沿岸まで広く分布するに分布しているようです。
寿命は10か月から11か月と短命です。論文によるとアキアミには『夏世代』と『越冬世代』があり、『夏世代』から生まれた個体が秋に水温低下のため成熟することができずに越冬し『越冬世代』になって、翌年の夏に成熟し『夏世代』を生むんだそうです。まさに昆虫のような越冬方法なんですね。
秋のわずかな期間しか漁獲されない
アキアミはその名前のとおり秋に獲れるアミ(エビのこと)です。猟期は地域によって異なりますが、9月から12月くらいでしょうか。関東の市場では鮮魚も素干しもあまり見かけることがありません。おそらくかき揚げや佃煮、練り物などの加工品に使われて単に『小えび』として流通しているのではないでしょうか。
利用方法
素干し
関東の市場ではあまり見かけませんが、アキアミはサクラエビと同じように素干しにして販売されることがあります。オキアミには出せない独特の香りがたまりません。そのままでも美味しく食べられます。
アミの塩辛(キムチにも利用される)
高級品であるアミの塩辛に利用されるエビがこのアキアミです。安いものだとオキアミ(ツノナシオキアミやナンキョクオキアミ)が多く使われている印象があります。
さらにアキアミの塩辛は韓国のソウルフードであるキムチを漬けるのに欠かせない材料なのです。これを入れるだけでぐっとキムチの味が美味しくなるのだとか。
栄養成分はたんぱく質が非常に多い!
パッケージの栄養成分表示を見ると、なんと100gあたりネルギーが233kcal、たんぱく質が48.6g、脂質が2.8g、炭水化物0.3gと非常に低脂質で低炭水化物、そしてプロテイン並の高たんぱく!毎日たくさん食べることは難しいと思いますが、栄養成分的にも非常に優れているんですね。
オキアミとの違いは?
アキアミを販売していてよく間違えられるのが『オキアミでしょ?』ということ。オキアミは魚に詳しくない一般の方でもエビではない何か(プランクトンという表現もされますがアキアミもプランクトンと呼べるためここでは用いません)という認識がありますよね。
オキアミ(ツノナシオキアミやナンキョクオキアミ)はオキアミ目オキアミ科に属する生き物です。アキアミはアキアミ目アキアミ科ですからずいぶん遠い仲間ということになりますね。どちらも食物連鎖では非常に大事な役割を果たしており、人間を含む様々な動物たちの大切な食べ物になっています。イワシからクジラまでみんなオキアミ大好きなんですよ。
オキアミとアキアミの見分け方
アキアミはしっぽに赤い点?があるのですぐに見分けることができます。鮮度が良いものほど赤色がきれいに出ているような気がします。オキアミにはこのような赤色はありません。
ちなみにこの記事とはあまり関係がありませんが、『小えび』として販売されている真っ赤な素干しエビはその多くがオキアミを着色したものです。サクラエビではないので注意しましょう。
サクラエビとして販売された偽装事件も
2017年の3月、静岡県の河津桜まつりで、中国産のアキアミを静岡県産のサクラエビと偽って販売された食品偽装事件がありました。サクラエビは日本では静岡県のごく一部だけで漁獲される高級品です。
摘発された業者はグレーゾーンだと思ったと話していたそうですが、そりゃ完全にアウトです。サクラエビはアキアミと比べると全身がピンク色です。アキアミは黄色っぽいのでこの記事の読者の方なら騙されませんね!