ブリとハマチはまったく同じ種類の魚!
結論から先に解説すると、ブリとハマチはまったく同じ種類の魚です。50~60cmくらいの中型のブリを関西ではハマチと呼びます。関東で養殖ブリが流通するようになってハマチサイズでの出荷が主流なため、関東でも養殖のブリをハマチと呼ぶようになったと考えられます。
代表的な出世魚。地方によって呼び名が非常に多彩
ブリは日本全国で漁獲され、大きさによって味や価値がまったく違ってくる魚です。そのため地方によって大きさごとに名前が付けられています。
だいたい下記のような具合です。
北陸:ツバス(ツバイソ)→コズクラ→フクラギ→ガンド→コブリ→ブリ
関西:ワカナ→ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ
関西ではおおむね50cm~60cm以上の中型のブリをハマチと呼んでいます。重量でいうとだいたい4~6kgほどでしょうか。味わいからいっても8~10kgくらいのブリサイズとはまったく異なります(例外はありますが大きいほうが断然おいしいです)。そのため呼び名が分けられるようになったのでしょう。
考察:なぜ関東でもハマチと呼ばれるようになったのか
なぜ関東で『養殖ワラサ』と呼ばれるようにならなかったのかというと、これは筆者の考察ですが、ブリの生産地は九州・四国ですので最初は養殖ブリを関西地方を中心に出荷していたのではないでしょうか。その後流通の発達により関東地方にも浸透するようになり『ハマチ』の名で流通するようになったのではないでしょうか。
筆者が魚屋時代にお客さんから言われたこと
私が百貨店の魚屋で働いていた20代前半のとき、お客様から『おぅ兄ちゃん、ブリはあるかい?』と聞かれ、「はい。こちらでございます。」と養殖のブリ切身を案内したところ『なんでぇ、ハマチじゃねえかよ』と言われたことがあります。その日帰ってから何かの本で、養殖のブリをハマチと呼ぶ人もいると知った記憶があります。
たしかに築地市場・豊洲市場ではあまりハマチという呼び名は使われず、『養殖ブリ』の略称で『養ブリ』と呼ばれることが多いです。そして、天然のブリは『天ブリ』と呼ばれます。
ハマチとブリの味の違い
ハマチは養殖しているため、もちろんブレはありますがおおむね年中安定した味を出せるのが特徴です。育て方や餌の品質、サイズによってさっぱりしたものから脂のりの強いものまで様々です。
『かぼすブリ』『みかんブリ』などのフルーツ魚も登場
かつてはハマチなどの養殖魚は脂臭いといわれ敬遠されることもありました。最近では養殖臭さはほとんどなくなり、良質なものが出回るようになりましたが養殖に負のイメージが抜けきれないのは事実かもしれません。
そんな中で生産者は餌にフルーツの果汁やオイルを混ぜた『フルーツ魚』を生産するようになりました。新鮮なものを食べてみるとたしかにほのかな柑橘の香りがします。これからもこうした取り組みは増えていくでしょう。楽しみですね。
ハマチとブリの値段の違い
では、ハマチとブリの値段の違いについて見てみましょう。天然のブリはサイズによる値段の違いも非常に大きいです。
年末の天然ブリは超高値!
天然のブリはサイズによって値段もかなり違ってきます。豊洲市場でのイメージですが、イナダと呼ばれる小型のサイズは1kgあたり200円~500円程度、ワラサと呼ばれる中型サイズは400円~600円程度、大型サイズのブリになると800円~1500円くらいになってきます。
また、年末の需要期になると特に値段が跳ね上がります。ブランド魚として名高い『氷見寒ぶり』は1kgあたり5000円くらいになることもしばしば。天然であるが故に供給量が読めず、相場が変わりやすい魚です。
ハマチ(養殖ブリ)は安定した値段
一方、養殖魚であるハマチは年間を通して比較的安定した値段で流通します。市場ではだいたい1kgあたり1000円から1300円くらいでしょうか。値段も品質も安定するのは養殖ならではですね。
めだか水産では美味しい水産物を販売しています
めだか水産ではブリのほか、マグロや今大ブームのサバ缶やいわし缶など様々な水産物を販売しています。ぜひ一度ご覧ください。