【動画あり】急に話題になった『アニサキス』謎の生態は?症状は?きちんと知っておこう

【動画あり】急に話題になった『アニサキス』謎の生態は?症状は?きちんと知っておこう

アニサキスとは?

去年あたりから急に話題になった『アニサキス』。有名人もアニサキスによる食中毒になったということで大きく報道されました。

しかし、魚を扱う人間にとってアニサキスは昔から当たり前だった存在です。なぜ近年になってこれほど話題になったのでしょうか。

アニサキスの生態や生物的な特徴、アニサキスによる食中毒や予防法などを見ていきましょう。変わった生態で非常におもしろいですよ。生きている貴重な動画もあります。

アニサキスの特徴

『アニサキス』とは特定の種の生き物の名前ではなく複数の種の総称です。回虫目(かいちゅうもく)アニサキス科アニサキス属に属している線虫の仲間を指します。要は寄生虫ですね。

これがアニサキス。生きています
これがアニサキス。生きています

アニサキス属には10種類以上が存在しているようですが、日本でアニサキス症の原因として話題に上がるのは下記の3種類です。

  • アニサキスⅠ型 Anisakis simplex
  • アニサキスⅡ型 Anisakis physeteris
  • シュードテラノーバ Pseudoterranova decipiens(アニサキス属ではない)

これらの寄生虫が人体に寄生することで『アニサキス症』が引き起こされます。アニサキス症については次項以降で説明します。

アニサキスの生態

一生のほとんどを他の生き物の体内で過ごす

アニサキスのような寄生虫は、生まれてから成長の段階に応じて寄生する先(宿主:『しゅくしゅ』と読む)を変えていきます。

幼生期など一時の期間だけ寄生する宿主を『中間宿主(ちゅうかんしゅくしゅ)』と呼び、中間宿主を捕食した生物の体内に取り込まれ、最終的に『終宿主(しゅうしゅくしゅ)』に寄生するようになります。

中間宿主が複数ある場合は順番に『第一中間宿主』『第二中間宿主』…といいます。

アニサキスの場合、オキアミなどの小型プランクトンが第一中間宿主、サバやタラ、スルメイカなどの魚類やイカ類が第二中間宿主(ここで人間に取り込まれることで食中毒が発症する)、クジラやイルカ、アザラシ、オットセイなどの海棲哺乳類が終宿主になります。

このようにアニサキスは成長段階に応じて寄生先を変え、一生のほとんどを他の生き物の体内で過ごすことになるのです。

アニサキスは様々な生き物の体内で一生のほとんどを過ごす
アニサキスは様々な生き物の体内で一生のほとんどを過ごす

では、どのようにして他の生物に寄生していくのかを見てみましょう。

アニサキスの生活環

アニサキスは卵から生まれます。すなわち、クジラやオットセイなどの海棲哺乳類の腸内に寄生したアニサキスが腸内で産卵し、クジラやオットセイなどの糞に混じって卵が海中に放出されます。

孵化したアニサキスは第一中間宿主のオキアミなどの動物プランクトンに食べられて取り込まれ、成長していきます。

アニサキスが寄生しているオキアミなどを第二中間宿主であるサバ、サンマ、スルメイカなどの魚類や軟体類が捕食することでアニサキスは魚などに寄生するようになります。

サバはアニサキスの被寄生生物の代表
サバはアニサキスの被寄生生物の代表

さらにその魚をクジラやアシカ、オットセイなどの終宿主が捕食することでアニサキスは成虫まで成長し、腸内に寄生・産卵しアニサキスの一生のループが完成します。

アニサキスの生活環・生態はまさに食物連鎖です。人間がアニサキスを摂取して激しい痛みを伴うのは、人間の体内でアニサキスが成長することができないため、人間の胃や腸から脱出しようとして胃壁・腸壁を傷つけるからなのです。

スルメイカの刺身によるアニサキス症も多い。これはヒイカ(ジンドウイカ)
スルメイカの刺身によるアニサキス症も多い。これはヒイカ(ジンドウイカ)

サバやイカだけじゃない。非常に多くの魚に寄生している

アニサキスはサバやタラなど特定の魚種だけに寄生していると思われがちですが、>実際はかなり多くの魚種に寄生しています。筆者が実際に確認しただけでもアンコウ、サケ、アイナメ、ドンコ(エゾイソアイナメ)、イサキ、ホッケ、マアジなどなど、非常にたくさんの魚種に寄生していました。刺身などで生食するときにはじゅうぶん気を付けなければいけません。魚は死んでいてもアニサキスは生きています。

釣りマダラ。冬のごちそう
釣りマダラ。冬のごちそう

アンコウ(キアンコウ)。市場では必ずお腹側を上にして並べる
アンコウ。刺身で食べることはないので寄生の心配はあまりない

鮮魚店や飲食店では普通に見る光景

たくさんの魚種に寄生しているため、飲食店や鮮魚店、スーパーなどの小売店では日常的にアニサキスを確認します。

もちろん寄生しているのを見つけたらできる限り除去していますが、目視なのでやはりすべてを完全に取り除くことは困難です。

もし買ってきた魚や魚卵などにアニサキスを発見したら、取り除いて食べましょう。食べなければ有害ではありませんし、味に影響もありません。また、加熱や冷凍で用意に容易に食中毒を防ぐことができます。

貴重な生きたアニサキスの動画

今回アニサキスの記事を書くにあたり、寄生した魚を撮影するのが非常に大変でした。そんな中でようやく撮影できたのが下記の動画です。

感染していた魚は『エゾイソアイナメ(ドンコ)』です。東北ではわりとよく売っている魚で、鍋物や汁物にして非常に美味しいです。刺身で食べることはないので感染の心配はありませんね。

アニサキス症を予防するために

お刺身を食べるときにアニサキスによる食中毒を予防するためにはいくつかの方法があります。

目視で確認して除去する

お刺身などで魚を生食するときには、目視でアニサキスが寄生していないかよく確認しましょう。半透明で白~黄色の細長いものがアニサキスです。発見するときはだいたい丸まっているような気がします。

加熱調理する

アニサキスは60℃以上、1分以上の熱処理で容易に死にます。塩焼きや煮つけ、唐揚げなどにすればアニサキスによる食中毒のリスクはほとんどありません。

ここまで大型のサバを使った缶詰は珍しいかも
サバの水煮や味噌煮ならまったく感染のリスクはない

冷凍する

マイナス20℃以下、24時間以上の冷凍でアニサキスは死にます。締めさばやイカの刺身を作りたいとき、心配ならば冷凍してみましょう。

まれにアレルギー症状が起きることも

一度アニサキス症にかかった人が再度感染した場合、アニサキスによるアレルギー症状が出ることがあるといわれています。

釣った魚を食べるときは目視で除去する

飲食店や小売店で買った魚だけでなく、自分で釣った魚を食べてアニサキスに感染する、ということも非常に多くあります。

新鮮な魚にはアニサキスはいない、と思われていますがそんなことはありません。また、釣った魚は新鮮だからとお刺身でいただくことが多いでしょう。釣った魚をさばくときはアニサキスがいないか目視でじゅうぶん確認しましょう。

脂の乗ったマイワシの刺身。血合いの上にある白い部分が脂です。EPA,DHAがたっぷり
刺身を食べる前や調理する前にとにかくよく確認する

効果が期待できないもの

わさびやしょうゆをたくさんつける

わさびなどの香辛料、しょうゆなどの調味料でアニサキス症が防げると思われがちですが、効果はありません。

酢で締める

締めさばにするのはアニサキス除去するためだという俗説も流れていますが、これも現代で使われているような濃度の食酢では効果がありません。

まとめ

普段から魚を日常的に生食する日本人にとって、アニサキスに感染するリスクは諸外国と比較して非常に高いです。生態や予防方法などきちんと正しい情報を身に着けて、アニサキスによる食中毒を防ぎましょう。

これがアニサキス。生きています
この顔見たら119番

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