ニホンウナギ

シラスウナギって知ってますか?密漁・密売・密輸が行われる超高級魚なうなぎの稚魚です

シラスウナギはうなぎの稚魚のこと

うなぎの稚魚のことをシラスウナギと言うのをご存知ですか。この記事では、明日使える知らなかったうなぎの知識をあなたにお届けします!

うなぎと言えば7月の土曜の丑の日に蒲焼を食べる文化が根付いて久しいですよね。近年になってニホンウナギが絶滅危惧種に認定されたとから、世間での注目が非常に集まっている魚でもあります。

シラスというとあの美味しい小魚を想像してしまいますが、魚類の稚魚全般をシラスと呼びます。うなぎのシラスなのでシラスウナギです。形はうなぎの成魚と同じなのだけれども色は半透明。実際に見たことはないのですが不思議な生き物です。

シラスウナギは養殖される前段階のうなぎ

うなぎは、出回ってるものの99%以上が養殖物です。海から生まれて汽水域(海水と淡水が混じるところ)にやってきたシラスウナギを捕まえて、生きたまま運搬し日本各地のうなぎ養殖場のいけすで出荷サイズまで育てられます。そのためシラスウナギはうなぎの養殖においては最も重要な生き物と言うことができます。

シラスウナギは12月から4月までの間採捕される

シラスウナギは12月から翌年4月までの期間中、河口域や海岸線などで網で掬ったり小型の定置網を仕掛けるなどして採捕されます。特に新月の夜がシラスウナギの採捕に向いているそうです。

シラスウナギ漁は反社会的勢力の資金源になっているとも

シラスウナギの採捕者は全国で20,000人を超えると言われています。長さが約6センチほど、重さはなんと0.2グラムほど。1尾あたりの価格が非常に高いうえ爪楊枝程度の大きさで少量の水で持ち運びできること、漁が夜に行われること、大きな装置や船などを使用しなくても捕まえられることなどから、シラスウナギが密漁・密売され、暴力団など反社会的勢力の資金源になっているとも言われています。

シラスウナギの前はレプトセファルス

シラスウナギになる前は、レプトセファルスと言う透明な平べったい形をした不思議な体形をしています。おそらく知らない人が見たらうなぎの赤ちゃんとはとても思えないと思います。レプトセファルスは海流に乗るため平べったい形をしています。体重も非常に軽いため、遠い海で生まれて長い距離を海流に乗って移動することができるのです。ニホンウナギのレプトセファルスはフィリピン沖のマリアナ海溝で生まれ、黒潮に乗って台湾や中国、日本、韓国などへ流れつきます。

シラスウナギになると体が重くなって海流に乗って移動することができなくなります。自分の力ではい回って移動するのです。

大人のうなぎは川に生息しています。海から川を目指して河口などの汽水域にやってきたシラスウナギは徐々に海水から淡水に体を慣らしていきます。

シラスウナギの漁獲量(採捕量)

このシラスウナギですが日本国内の採捕量は1957年(昭和32年)には200トンあったとされています。これは黒子と呼ばれるシラスウナギから成長して黒くなったうなぎの子供(クロコ)が含まれているため正確にシラスウナギのみの重量ではないという指摘があります。

そして1980年代から採捕量を減らし続け、1985年には20トン、それから現在に至るまで20トンから10トンあたりを行き来しており、減少基調にあると言われています。

近年のシラスウナギの減少は、親となるうなぎの生息環境の悪化、海流の変化や水温の変化のほか、親うなぎやシラスウナギの乱獲も原因だと言われています。しかし実際のところはっきりこれだといえる原因はいまだに分かっていないようです。

外国からシラスウナギを輸入している

日本国内で養殖されているうなぎは、シラスウナギを外国から輸入してきて育てたもの、国内でシラスウナギを採捕し育てたものの2種類があります。蒲焼になった際はどちらも表示は国産になります。

シラスウナギの採捕量は前述した通りその年によって非常にばらつきがありますそのためシラスウナギが不足した分を輸入で補っているのです。

シラスウナギの密輸や密売にも反社会的勢力が…

そしてその輸入や販売にまたもや反社会的勢力が関与しており、密売・密輸など違法行為を経たシラスウナギも流通していると言われています。違法なシラスウナギと合法なシラスウナギは流通段階で混じってしまい、私たちが口にする段階では判別することができません。

イオンがクリーンなうなぎ流通に挑む

そうした状況の中、国内大手の小売チェーンイオンはシラスウナギの産地や採捕者、流通経路、養殖場、製造工場や製造工程まで全てトレース追跡できるようにした新商品『静岡県浜名湖産うなぎ蒲焼』を2019年に発表しました。

ニュースなどでは、同日に発表された、サケやナマズなどうなぎ蒲焼の代用商品や代用魚に注目が集まったようですが、魚の流通マニアとしてはシラスウナギのトレースが可能になったこの商品の方が非常に興味深いものだと思いました。

また2018年には流通の透明化を図る日本シラスウナギ取扱者協議会が発足したそうです。今後もこうした動きが広がっていけば私たちも安心しておいしいうなぎを食べられるかもしれません。

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