これが勇アジ

【ブランドアジ】豊洲市場ですごいアジを発見!勇進水産の『勇(いさみ)アジ』を紹介します

極上マアジ『勇(いさみ)アジ』って知ってる?

今やアジもブランド化の時代!

『ブランド魚』ってご存知ですか?あまりにも有名な『関さば』や『関あじ』、TVで話題になったサーモン『紅富士』など、今では全国に様々なブランド魚が誕生しています。

そんな中、魚マニアな方でもまだ知らない人が多いと思われる極上アジを発見しました。

今回は、生産者の勇進水産さんから伺った情報を交えつつ、これから知名度が伸びてくるであろう『勇(いさみ)アジ』を紹介します!

勇アジとは?

鹿児島県長島町の勇進水産(ゆうしんすいさん)さんが手掛ける養殖アジ『勇(いさみ)アジ』です。

ある日、筆者が豊洲市場の仲卸売場で見つけた素晴らしいアジ。

これが勇アジ
これが勇アジ

仲卸さん曰くたまたま買ってみたそうですが、非常に評判が良いのだそう。

たしかに、普段魚を見ている人はパッと見ただけで『いいものだ』とわかるアジでした。

姿から素晴らしいアジ。並べ方にも工夫が光る

アジは日本全国各地で通年漁獲される多獲性(たかくせい)の魚種です。

まき網、定置網、釣りなど様々な漁法で漁獲されるのですが、一般的にまき網など網を使った漁法では魚のツヤや色が落ちます。

勇アジは傷を見せない工夫が施されていた

豊洲市場に入荷した勇アジ
豊洲市場に入荷した勇アジ

こちらが豊洲市場に入荷した勇アジです。黄金色に輝く魚体。見た目からして処置(仕立て)が良いのがわかります。

締め跡は魚を左向きに置いたときに下になるように統一されています!個人的にはポイントが高いです。

これだけ色つやの良い状態で入荷することは非常に稀です。出荷時・水揚げ時の扱いが良いことが窺えます。

出荷時の発泡スチロールの側面には各社の印がある
出荷時の発泡スチロールの側面には各社の印がある

あまりに美しいので思わず生産者にメールで聞いてみた

あまりにも品質が良く感激したのですぐに検索してみたのですが、ネット上には勇アジに関する情報がほとんどない…。

ということでなんと生産者の勇進水産さんに直接、勇アジの秘密を問い合わせてみました!

すると、勇アジの素晴らしい品質も納得。随所にこだわりの技術と工夫があったのです…。

※いきなりの質問にも快く応えてくださった勇進水産さん、本当にありがとうございます。

以下、写真は勇進水産さんからご提供いただいたものを使用しています。

『勇アジ』こだわりのポイントがすごかった

鹿児島県長島町はブリ生産量日本一の美しい島!

魚の養殖に最適な環境

勇アジの生産者である勇進水産さんは鹿児島県出水郡長島町に存在します。海に囲まれた美しい島です。

海岸線が長い、入り江が多い、潮の流れが速い(潮流最大毎秒3.5m)、水温が高い(年間の平均海水温度19℃)ということで魚の養殖には最適な環境といえます。

そんな長島町は、なんと養殖ブリ(ハマチ)生産量日本一の地域なんです。

天然ものはブランドとして知る人ぞ知る存在

さらに天然の魚も極上ものが豊富。出水(いずみ)といえば関東の水産関係者ならピンとくるてしょう。

アジやマダイなどでは、出水という産地自体がブランドとしてその名が通っており、他の産地よりも3~5割ほど高値で取引されています。

そんな恵まれた環境下で育った勇アジ。ただ、それだけでは全国に出回る普通の養殖魚とそこまで差は出ないでしょう。

勇アジの鮮度と味の良さは、以降に説明する育成方法と出荷方法にも隠れていたのです。

これが勇アジ。素晴らしい美しさです
これが勇アジ。素晴らしい美しさです

ゆっくりと一年かけて育てられる勇アジ

勇アジは、秋にアジの稚魚を八代海(長島、天草諸島、九州本土に囲まれた海域)で漁獲し、アジ専用の配合飼料を与えて一年かけてゆっくりと育てます。

専用飼料で養殖臭さの無い魚に

魚の養殖に用いる餌は、生や冷凍の魚をそのまま与える生餌(なまえ)と、魚を粉末状にした魚粉から生成される配合飼料とに大別されます。

生餌は安価ですが、栄養価が偏ってしまったり、沈んでしまった食べ残しは漁場の汚染につながります。また、食べたときにいわゆる『養殖臭い』原因になります。

勇アジはアジ専用の配合飼料を適切に用いることで、養殖臭さのない旨味・甘味を引き出しているのですね。

マダイと同じく遮光シートを用いて育てている

勇アジは遮光シートを敷いて育てられる
勇アジは遮光シートを敷いて育てられる

アジは本来海底にいる魚であり、生育にはその環境を作ってあげることが重要。という考えのもと、勇進水産さんでは稚魚をいけすに入れた当日から遮光シートを張って育成するそうです。

一般的には高級魚として知られるマダイも同じ方法で育てられます。こうすることで魚の体表が黒くなってしまうことを防ぐ効果があります。

勇アジの黄金色の美しさはこうした工夫にあったんですね。

企業秘密の血抜きと活〆

魚は生育時だけでなく、出荷工程も非常に重要です。活け締めや血抜きがうまくできているかどうかで、翌日、翌々日の魚の味や食感がまるで変わってきます。

魚の締め方や血抜きの方法は産地や養殖業者さんによって本当に様々で、各社の工夫のポイントでもあります。

出荷用いけすでストレスを低減してから活け締め

激しい潮流に揉まれながら育った勇アジを、出荷用の広々としたいけすで数日間ゆっくりと泳がします。

こうすることで魚のストレスを減らし、魚の旨味成分の元となるATP(アデノシン三リン酸:生物のエネルギー物質)を存分に蓄えた状態にします。

難しい話のように思えますが、要は元気で健康的な状態にするということです。これが魚の味や鮮度に非常に大きく影響します。

出荷用の生け簀から注文に合わせて活け締めする
出荷用の生け簀からその日の注文に合わせて活け締めするため、常に鮮度抜群の状態で出荷される

企業秘密!勇アジの血抜きと活け締め方法

今回、なんと勇進水産さんから勇アジの血抜きと活け締め方法まで教えていただきました。

勇アジは特殊な器具で延髄を締め、さらにエラの膜と奥を切りしっかりと血抜きしたあと海水の氷水に漬けます。(この工程を冷やしこみといいます)

こうして生産者の方々が一尾ずつ丁寧に活け締めを行う
こうして生産者の方々が一尾ずつ丁寧に作業を行う

この際の温度がとても重要。一般的に養殖魚の冷やしこみで用いられている0℃の水温だと、アジは体表も身も白くなってしまうそうです。

最適な温度を自社で試行錯誤した結果、現在の温度にいたり、出荷しているとのこと。長年の研究のたまものということですね。※冷やしこみの温度は企業秘密です!

アジの脳天に器具を差し込む(いわゆる脳天締め)
アジの脳天に器具を差し込む(いわゆる脳天締め)
企業秘密の冷やしこみを行った勇アジ
企業秘密の冷やしこみを行った勇アジ

出荷方法にもこだわりがたくさん。空輸で東京にやってくる!

丁寧に育てられ、仕立てられた勇アジはなんと鹿児島からはるばる飛行機で空輸され東京の市場にやってきます!

魚は鮮度が命。スピーディ―に空輸することで、東京の市場に届きお寿司屋さんや魚屋さんを経て、私たちの口に入るときに鮮度を保ったまま旨味を存分に発揮できます。

こちらが発送直前の勇アジ。わかりますか?目がキラッキラなんです
こちらが発送直前の勇アジ。わかりますか?目がキラッキラなんです
豊洲市場に入荷した勇アジ。数字の意味は『15尾で3.0kg入り』つまり1尾200g程度
豊洲市場に入荷した勇アジ。数字の意味は『15尾で3.0kg入り』つまり1尾200g程度

生産者おすすめの勇アジの食べ方

魚の食べ方は地元の方に聞くのが一番。ということで勇アジのおすすめの食べ方を聞いてみました。

勇進水産
刺身はもちろんですが、当社内ではアジフライが一番人気。
様々なこだわりに、熱を通す事で甘み、旨みがさらに感じられ大人気です。

とのこと。脂ののった魚で作るアジフライは魚料理の中でも最上位クラスの美味しさでしょう!

勇アジを食べてみた

この記事を作成する前、勇アジを豊洲市場で購入し実際にお刺身で食べてみました。

さらに、仕立てが良いことで食感がしっかり残っています。味は脂ののったシマアジのようで本当に美味しいです。

とくに真冬や春は天然アジの脂が薄くなる時期ですので、脂のりを重視するお寿司屋さんにもおすすめしたいと感じました。

※写真は撮影し忘れました…。

勇進水産さんについて

有限会社勇進水産さんは昭和45年にブリの養殖を始められた水産業を営む会社です。

有限会社勇進水産

鹿児島の最北端の美しい海でブリや真鯛、シマアジ等といった魚の養殖や販売、買い付けを行っている有限会社勇進水産は、徹底した…

 

以前から自社で活魚(特殊なトラックで活きたまま各市場等へ魚を運ぶ)を扱っており、東京向けの流通は5年前から始められたそうです。

大田市場には5年前からタイ、ブリ、シマアジ、カワハギなどを活魚出荷していらっしゃいます。

さいごに、勇進水産さん、この度は突然のメールにも関わらず取材のご協力ありがとうございました!

これが勇アジ
『次世代のおさかな好きを創る』をテーマに毎日更新中!