日本人はエビが大好き!
天ぷら、お寿司、エビフライ、パスタと、私たちの食生活に欠かせないエビ。日本人は古くからボタンエビやイセエビ、甘えびなど様々な種類のエビを食べてきました。
今や流通しているエビの多くは外国産。外国産のエビで代表的なのはブラックタイガーとバナメイエビではないでしょうか。
では、ブラックタイガーとバナメイエビはどこがどう違うのかご存知ですか?料理の使い方や生き物としての違い、値段の違いなどを比較していきます。
それぞれの特徴をおさえておこう
バナメイエビは今や最も流通量の多いエビ
バナメイエビは今や日本国内では最も流通量の多いエビといわれています。バナメイエビはインドネシア、タイ、ベトナムなどの外国で養殖され日本に輸入してきます。豆知識ですが、実はこれらの地域には本来バナメイエビは生息していません。
外食産業や冷凍食品など加工食品にはバナメイエビが広く用いられています。なんといっても味がよく価格が安いのが特徴です。たとえば回転寿司に使われている蒸しえび(開いたエビ)も多くはバナメイエビです。
また、ほんの少量ですが日本国内でも養殖が行われています。陸上養殖も可能で、まさに次世代のエビがバナメイエビなのです。
むきえびの多くはバナメイエビ
バナメイエビはスーパーで売られているむきえびで見かけることが多いと思います。
食卓にも届きやすい安価なエビということで、今やバナメイエビを扱っていないスーパーを見ることはないというレベルで普及しています。
古くから外国産のエビの代表といえばブラックタイガー
冷凍のエビといえば一般的に最初に思い浮かべるのはブラックタイガーなのではないでしょうか。それほど、外国産のエビとして長らく日本で愛されてきたエビです。
ブラックタイガーは実は日本国内でも水揚げされるエビで、『ウシエビ』という和名もあるんです。ただし水揚げ量は少量で、圧倒的に外国産のほうが流通量が多いです。
ブラックタイガーは天ぷら、高級な回転ずし、回らないお寿司屋さんのランチ、エビフライなど、ちょっぴり高級な使われ方をします。
世界的なエビ需要の増加とバナメイエビの出現によって、日本ではブラックタイガーの輸入量は減少傾向にあります。また、世界的な生産量もブラックタイガーからバナメイエビにシフトしています。
生き物としての違い
ブラックタイガーの生物学的特徴
学名:Penaeus monodon
英名:Black tiger prawn
分類:十脚目クルマエビ科ウシエビ属
ブラックタイガーは日本にも生息しているウシエビの通称です。むしろウシエビという名前よりもブラックタイガーという名前のほうが有名ですよね。
体色は黒っぽく、黒い縞模様があることからブラックタイガーと呼ばれます。クルマエビの仲間では最も大きくなるためウシエビと呼ばれるようになったという説があります。
大きさは最大で30cm以上にもなる大型のエビです。海底の砂泥中に生息し、藻類(コケ類)や多毛類(ゴカイなど)を食べる雑食性だそうです。
バナメイエビの生物学的特徴
学名:Litopenaeus vannamei
英名:Whiteleg shrimp
分類:十脚目クルマエビ科Litopenaeus属
バナメイエビも広義的にはクルマエビの仲間といえます。名前は学名の種小名vannameiからそのまま付けられています。
日本には生息しておらず、主に東南アジアで養殖されたものが流通していますが、本来はメキシコからペルーあたりの沿岸に生息しているエビです。
大きさはせいぜい20cm程度で、中型のエビです。ブラックタイガーのように砂や泥に潜ったりすることはなく、泳ぎ回る性質が強いようです。
味や食感、色の違い
ほとんどの場合、エビは茹でるか焼くか揚げるかで加熱していただくと思います。その際に重要になってくるのが色、食感、味ですよね。
バナメイエビは柔らかく色が薄い
バナメイエビはブラックタイガーと比べると柔らかい食感です。また、むきえびの場合は加工の際にpH調整剤などで保水処理されるため、よりぷりぷりでやわらかな食感になります。
保水処理を施したエビは加熱しても透明なままです。安いむきえびにはこうしたものが多い印象です。バナメイは味も色もブラックタイガーと比べると貧弱というか、薄いと感じます。
ブラックタイガーは色、味が濃く食感が強い
一方のブラックタイガーは、もともとクルマエビの代用としても使われていたほどなので加熱した際の赤色も濃く、食感はざくっとした強い弾力です。
今や高級エビになってしまいましたが、やはり味も食感もブラックタイガーのほうが上と言えるでしょう。
利用方法の違い
ブラックタイガーは天ぷらや寿司に使われる
前述のとおり色がよく食感に優れているブラックタイガーは、見栄えの美しさも重視するお寿司や天ぷらなどに用いられます。
また大型になるため、特大エビフライを売りにしているお店はブラックタイガーを使っていることが多いように思います。
バナメイは炒め物やサラダなどにも
バナメイエビももちろん天ぷらやお寿司にも利用されますが、どちらかといえばエビチリなどの炒め物などに向いていると思います。
ぷりぷりの食感を活かして炒め物やフリッター、パスタ、ピラフなどが相性が良いでしょう。
値段の違い
値段は前述のとおりブラックタイガーのほうが高いのですが、その理由は養殖方法の違いにあります。
ブラックタイガーは泥や砂の中に潜って生活しているため、養殖の際には底の広い池が必要になるのですが、バナメイは泳ぐ性質が強いので池を立体的に効率よく使えるのです。
また、バナメイエビはこれまで養殖されてきたエビよりもずっと病気に強く、密集して養殖ができることからバナメイエビの生産量がどんどん上がり、値段が安くなっているんですね。
バナメイエビとブラックタイガーの違い:まとめ
- どちらもクルマエビの仲間で非常に美味しい
- 味、色、食感はブラックタイガーが上(もちろん料理にもよりますが)
- 価格はバナメイのほうが安い
- 効率的に養殖できるため世界的にバナメイの生産量が増えている
どちらも食品偽装に使われたことがある…
補足として覚えておきたいのが、バナメイエビとブラックタイガーはどちらも食品偽装に利用されたことがあるんです。
日本では2013年に大手ホテルなどによる食品偽装問題が連日ニュースで取り上げられ、大きな社会問題になりました。
国内多くのホテルのレストランで、バナメイエビを「芝エビ」として、ブラックタイガーを「車エビ」と表記して提供していたというのです。中には東京ディズニーリゾート内のホテルもあったそうで、驚いたのを覚えています。
偽装に利用されたとはいえ決してバナメイエビは粗悪なエビではありません。安くて美味しい素晴らしいエビです。しかも現在はむしろバナメイエビのほうが高く流通しています。私たち消費者が正しい知識と価値観をもってエビを愛していきたいものですね。
メニュー表記には「芝海老とイカの炒め物」として「シバエビ」を使用しているかのように表示していた料理は実際には安価で取引されている「バナメイエビ」を使用し、またメニュー表記に「若鶏の照り焼き九条ねぎのロティと共に」として「九条ねぎ」を使用しているかのように表示していた料理では、実際には安価で取引されている「青ネギ」又は「白ネギ」を使用する等していました。
消費者庁ホームページ『平成25年度 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告』より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/26hakusho_honbun.pdf
バナメイエビは高たんぱく低カロリーの健康食材
バナメイエビに限らずエビ全般はとても低カロリーかつ高たんぱくな健康食材といえます。バナメイエビは100gあたり19.6gのたんぱく質が含まれています。
なぜ高たんぱくなのかといえば、人間がエビを食べる部分ってほとんどが筋肉なんです。エビが泳ぐときに使う全身の筋肉を食べるので、高たんぱく食品なのは間違いありません!
しかもカロリーは100gあたり91kcal。ご飯が100gあたり約160ckalだそうなので、とっても低カロリーといえそうですね。
バナメイエビは脂質・糖質もほとんどない
バナメイエビの糖質は100gあたり0.7gです。ほとんど糖質ゼロといってもいいのではないでしょうか。
バナメイエビは毎日摂取する動物性たんぱく質としては優秀かもしれませんね。
さらにバナメイエビの脂質は100gあたり0.6gです。脂質が少ないと思われている「鶏むね肉」でさえ脂質が100gあたり17.2gです。バナメイエビの低脂質っぷりは本当にスゴイですね…。
バナメイエビの下処理方法
ムキエビなら下処理は不要
スーパー等でバナメイエビを購入するときはほとんどがパックに入ったムキエビの状態だと思います。
その場合、特別な下処理は必要ありません。そのまま加熱して料理に使ってください。殻付き海老の場合は殻をむいて背ワタをとる必要があります(小さめサイズの場合は背ワタ取りは不要です)。
バナメイエビを使ったおすすめの調理法
シンプルに茹でる
バナメイエビ旨味の強い食材ですので、シンプルに塩ゆでしただけでも美味しく召し上がれます。エビ本来のざくっとした触感と旨味が味わえます。
ただし、茹でる場合は殻付きのバナメイエビを使うのがおすすめです。なぜ殻付きが良いのかというと、むきエビはエビの水分を保つため保水材と呼ばれる添加物を使用しており、食感と旨味がかなり落ちているのです。加熱したらみるみる縮んでしまって残念な思いをした方も多いのではないでしょうか?その理由がこれです。
エビチリ
バナメイエビのぷりぷりした食感はエビチリにぴったりです。中華レストランのエビチリにはバナメイエビが広く使用されています。
エビチリに利用する場合は大きさや利便性からムキエビがおすすめです。
参考文献
藤原昌高著 2013年『からだにおいしい 魚の便利帳』発行:高橋書店
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