対馬のアナゴ漁師『初漁丸 赤木正男さん』の取組みと対馬西穴子

穴子漁師 初漁丸の赤木さんと対馬

日本の九州と朝鮮半島の間に位置し、美しい自然が今も残されている長崎県対馬。赤木正男(あかぎまさお)さんは、対馬の水崎港を拠点として漁業を営んでいる漁船『初漁丸(はつりょうまる)』の漁師さんです。

先日私たちめだか水産では、以前赤木さんが漁獲した素晴らしい対馬西穴子を使った料理をYouTube動画でご紹介させていただきました。

本記事では、初漁丸の赤木さんが漁獲する対馬西穴子の魅力や、赤木さんの穴子に対する取組みをご紹介します。

対馬は良質な水産資源の宝庫

対馬は南北に約82km、東西に約18kmの細長い形をしています。周辺は入り組んだリアス式海岸が発達し、海岸線の長さは915kmにも及びます。

世界最大級の海流である黒潮から別れた対馬海流が対馬の周りを流れることで、豊かな漁場を形成するとともに様々な魚が回遊する漁場を築いています。

対馬では本記事で紹介する穴子のほか、クエ、アカムツ(のどぐろ)、アマダイ、タチウオなど高級魚として有名な魚種も数多く水揚げされ、全国的に高い評価を得ています。

そして長崎県が全国屈指の漁獲量を誇り、江戸前寿司に欠かすことのできない穴子(マアナゴ)は、実は長崎県内の漁獲量のほとんどを対馬産が占めているのです。

対馬のブランド穴子『対馬西穴子』

対馬には東西に豊かな穴子の漁場がありますが、特に対馬西沖、緯度34度台。ここで漁獲された穴子は激しい潮流と栄養豊富な食べ物で育ち、身が引き締まって脂の乗った美味しい穴子になります。

それだけではなく対馬西沖の深海域の穴子は、穴子の餌として非常に上質な深海イワシ(キュウリエソ)を主食としているため、他の産地とはまるで違う上質な脂をもっているのです。

赤木さんは長年で培った経験をもとに、対馬西沖でもさらに美味しい穴子を狙い、その時期もっとも脂のりが良い穴子が生息する漁場に向けて船を出します。対馬ではこの特別な穴子を『対馬西穴子』と呼びブランド化を目指しています。

穴子の持続的な利用に配慮した漁

最近になってSDGsという言葉とともに一般にも知られるようになった持続的な利用という考え方。魚をはじめとする水産資源も、獲りすぎなければ持続的な利用ができる資源です。

赤木さんは、対馬の穴子資源に極力ダメージを与えないよう資源管理に配慮した漁を行なっています。

穴子の漁は狭い場所に入りめる生態を利用し、筒状になった専用の『カゴ』を利用します。赤木さんは対馬での漁獲ルールに応じ穴子の乱獲を防ぐため、1日1回カゴの数は1300カゴまでと決めて出漁します。

また、カゴの水抜き穴のサイズを大きくすることで目的のサイズ以下の穴子が獲れないようにし、穴子の幼魚を逃がす工夫もしています。

小さい魚は高値で売れない上に、資源へのダメージが大きくなります。次世代につながる穴子の漁獲を防ぐことで、持続的な利用を心掛けているのです。

1本のカゴに入る穴子の漁は少なければゼロ、多ければ数十尾の穴子が入るそうです。一度の出漁で漁獲できる穴子の量は200kgから多ければなんと2,000kg!乱獲を防ぐため、一度に出漁できる期間は3日までとルールが定められています。

2020年度『長崎県知事賞』を受賞。赤木さんの活動

赤木さんは令和2年度「ながさき水産業大賞」の最高賞である長崎県知事賞を受賞されています。

受賞評価の対象となったのはやはり対馬産の穴子に関する活動です。

対馬産穴子の新規販路拡大と知名度アップに貢献

これまで九州内での食習慣が薄くあまり積極的に利用されず、知名度が低いため安価で取引されていた対馬産の穴子。

赤木さんはそんな対馬産穴子を、各市場への出荷を担う『浜買い人』を通じて売り先の開拓を行い、収益性を拡大するとともにより多くの人たちに知ってもらう活動を続けておられました。

さらに「対馬あなご籠実行組合」としてイベントの開催や各種メディア等の取材を通じて対馬産穴子のPRを行い、知名度と単価の向上に寄与したということが評価されたそうです。

対馬の漁業に多大なる貢献をしたということで、赤木さんには長崎県知事賞が贈られたのですね。

赤木さんが漁獲した穴子を扱う水産業者『対馬水崎水産』

赤木さんが獲った対馬西穴子は、前述のとおり対馬水崎水産さんで専属契約で扱っていらっしゃいます。

極上の美味しさなのは当たり前。持続可能な漁業に取組む初漁丸の赤木さんがこだわり抜いた対馬西穴子を扱ってみたい小売店の方や飲食店の方は、是非対馬水崎水産さんのwebサイトをご確認ください。

対馬水崎水産さんのwebサイトへ移動します
https://tsushima-mizusaki.jp/

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