おじさんという名前の魚が存在する!
皆さん、おじさんと言う魚がいるのをご存知でしょうか?おじさんと言うのは通称で、実際には何種類かの魚がおじさんと呼ばれています。
この記事ではおじさんと呼ばれている魚の一種「ホウライヒメジ」をお刺身とアクアパッツァにしてみたので、魚の紹介から味のレビューを行います!
おじさんってどんな魚?
標準和名:ホウライヒメジ
学名:Parupeneus ciliatus
英名:Whitesaddle goatfish
スズキ目ヒメジ科ウミヒゴイ属
おじさん(ホウライヒメジ)はインド洋や太平洋のサンゴ礁や岩礁域に生息している魚です。日本国内では主に西日本~南日本に生息し、九州や沖縄などに多い印象があります。関東の市場に入荷してくるものは、長崎県や鹿児島県産が多いです。
標準和名を「オジサン」と言う魚もいるのですが出回ることが少なく、他のヒメジの仲間の方がおじさんと言われていることが多いような気がします。
築地市場、豊洲市場ではホウライヒメジのほかにオキナヒメジという魚もおじさんとよばれています。さらにこの2種は市場では区別されずに取引されます。
名前の由来はやっぱりヒゲでしょう
おじさんの名前の由来は、口元のヒゲがおじいさんやおじさんを思わせるためと言われています。英名のGoatfishというのも「ヤギ魚」という意味になりますので、やはり世界でも特徴はヒゲなんですね。
ヒゲは下顎に二本生えており、この二本のヒゲを上手に操って、砂や泥の中に潜んでいる甲殻類や軟体動物、多毛類(ゴカイなど)などを捕食しているとされています。
実は最近では高級魚だったりする
実は非常においしい白身魚なのですが、関東では馴染みがないため一般に流通する事はほとんどありません。
一部の飲食店などで食べられていたような魚、いわゆる雑魚とか未利用魚、低利用魚なんていう言い方をされる魚でした。
ホウライヒメジやオキナヒメジはここ数年になって、おじさんという名前の面白さや珍しい魚ブームなどで比較的高値が付けられるようになりました。数年前は1キロあたり400-500円でしたが、最近では1キロ1000円近くするときもあります。もはや高級魚の一つと言っても良いのかもしれません。
スーパーなどではほとんどお目にかかる事はなく、居酒屋さんやフレンチレストランなどで利用されている印象があります。加熱するととても美味しい魚なんです。
おじさんは臭い!?
おじさんはさばいているときに内臓が臭い個体に当たる確率が高いように思います。それは「底曳網(そこびきあみ)」で漁獲されるためだと思われます。
魚はどんな網で漁獲されたのか、どんな方法で漁獲されたのか、どのように保冷されて流通したのかによって味や鮮度が大きく異なります。
底曳網は大きな網で海底を引っ張ってくる漁の方法です。底曳網で漁獲された魚の鮮度は、定置網や釣りに比べて落ちてしまうことが多いです。
おじさんのあそこは大きく柔らかい
おじさんのウロコはやわらかく大きいです。ブダイやイラなどベラに近いようなウロコの形をしているように思います。身にも共通点があり、後述するとおりベラの仲間のように水分が多いのが特徴です。
おじさん2種、ホウライヒメジとオキナヒメジの見分け方
おじさんと呼ばれる魚の代表2種、ホウライヒメジとオキナヒメジの見分け方を紹介します。ポイントは特徴でもある尾柄(びへい)部にある黒い斑紋。この斑紋が側線(魚の体表にある、水の動きや水圧、音などを感じ取る感覚器官)にまで達しているのがホウライヒメジです。
逆に、尾柄部の黒い斑紋が側線まで達していないものがオキナヒメジです。慣れてくればパッと見たときになんとなく顔でわかるようになってきます。
おじさんにオススメの料理
アクアパッツァ
ホウライヒメジやオキナヒメジなどのおじさんは比較的水分が多い魚です。そのため塩焼きなどにすると水分が出てあまり美味しく仕上がらないことがあります。
そんなときにお勧めなのがアクアパッツァです。水分の多い魚でも美味しく食べられます。作り方もすごく簡単で、基本的には貝とワインと魚さえあればOK!
塩胡椒した魚の表面を焼いて、アサリやハマグリなどの貝を入れて、ワインを入れ強火で煮込むだけ!
非常に見栄えが良く味もおいしい、お酒にもよく合う簡単な魚料理です。グレードアップするにはにんにくやオリーブオイルを加えたり、トマト、ローリエなどを加えてください。
ムニエル
おじさんは皮が厚いため、ムニエルなどにして皮をパリッと仕上げると非常に美味しいです。臭い個体も見受けられるので、にんにくとオリーブオイルで香りづけしてあげれば本当に高級レストランの味になりますよ!
お刺身はあんまりかも
おじさんは鮮度が良ければ刺身で食べられる魚です。クセのない白身魚ですが鮮度が落ちているものは臭いように感じることもあります。
脂がのっているものが少ないような気がします。正直お刺身でも食べられるというだけで特別刺身で食べたほうがいいような魚ではないような気がします。
おじさんがおじさんを料理して喜んでいる動画を作りました
めだか水産広報部が運営しているYouTubeチャンネル『さかなでのみましょう』で、おじさんをさばいて美味しく食べちゃう動画を公開しています。
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