マダイの養殖イメージ

水産業界に就職したい人は見て!どんな仕事がある?動向は?業界研究にどうぞ!

本記事は水産業界に就職したい学生さんや、水産業界を検討していて業界研究がしたい方向けに書きました。

そもそも水産業界ってどんな業界?

私たちの生活に欠かすことのできない農林業や水産業。これらをまとめて農林水産業といいます。農林水産業とは、具体的には人間生活に必要な食料や木材などを生産する仕事のことです。

と聞くと、就職したら米を作る農家のような仕事をするのかとか、漁師のように船で海へ出て魚を獲る仕事をするのかと思いがちですが、決してそんなことはありません。

今あなたが学生さんで、水産関係の大きな会社に就職することになったとしても、大半は他の多くの業界と同じように営業や人事、マーケティングなどの仕事に就くことになるでしょう。

水産業界は魚介類の生産から流通、販売を行う仕事と考えてもらえればと思います。水産業という業界の中にも、漁業、流通業・卸売業、IT業、小売業、製造業など様々な分野があるのです。

このうち筆者は水産業界で4社を経験し、卸売業、小売業、営業(法人営業、個人営業)、IT業などに関わってきました。

水産業界の動向は?

就職や企業研究にあたり水産業界を最も詳しく知るには、水産庁が毎年発行している『水産白書』を読むのが一番良いと思います。

水産庁ホームページ:http://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/

日本の家庭状況の変化や海外での水産需要の急増により、日本の一人当たりの食用魚介類消費量は2001年の40.2kg/年をピークに減少を続けています。本当にきれいな右肩下がりで2016年には24.6kg/年となってしまいました。

また、食べられる魚種にも変化が生じています。かつてはイカやエビが多く消費されていたのが、日本近海のイカ不漁と海外のエビ需要増で買い負けが起こりました。今では日本人が最も多く食べている魚はなんと「サケ(サーモンを含む)」です。

家庭で食べる機会の少なくなってしまった魚介類ですが、消費者の間にはもっと魚を食べたいという意識も根強くあります。主菜となる各食材について、今後の摂取量に関する意向を尋ねた株式会社日本政策金融公庫による調査では、魚介類の摂取量を増やしたいとの回答が肉類を大きく上回りました。

また、今や世界中で「スシ」はブームになっています。高品質な日本の鮮魚は今後も輸出による伸びが大いに期待できます。

水産業界の仕事ってどんなのがある?

前述したとおり水産業界でも様々な就職先があります。例として私が経験してきた仕事や友人が就職した仕事を一部ご紹介します。

■小売業:いわゆる魚屋さんです。就職した場合、まずは店舗に配属することが多いでしょう。魚介類に対する食材としての知識や、気持ちの良い接客技術、スピードと正確さが求められる3枚おろしなどの加工技術が求められます。

水産小売業に就職するメリットは加工技術にあるかもしれません。意外と魚がさばけたりお刺身が作れるスキルを持っている人は多くありません。仕事を通して一生使えるスキルを身につけることができます。

■法人営業:水産加工メーカーや水産商社に就職した場合に就きそうな仕事です。自社で開発した製品を小売店や卸売業者、飲食店などに販売する仕事です。会社や会社内のチームによってルート営業だったり新規営業だったりすることでしょう。

人と接するのが好きな方や、チャレンジ精神あふれる人は向いているのではないでしょうか。これはもちろん水産業界に限った話ではありませんね。

■バイヤー:市場や商社を相手に、自社向けの原料(未加工の魚介類)を仕入れたり、各商品の値付けや「いかに商品の良さを伝えるか」「いかに売れる商品を見つけるか」などを突き詰めていく仕事です。

とにかく商品や魚介類について興味がある人がバイヤーに向いていると思います。常にアンテナを高く張って、いち早く動向やトレンドをつかむことも求められます。基本的には営業職をある程度身に着けてからバイヤーに就職するパターンが多いでしょう。

■市場の卸売業者:いわゆる「セリ人」と呼ばれる人たちです。各地の魚市場には、水揚げされた魚や入荷された魚を選別し買参人(ばいさんにん:セリに参加する)に公平に販売する卸売業者(大卸)が存在します。日本最大の中央卸売市場である豊洲市場には、一日数百万円から数千万円を動かすセリ人も大勢います。

バイヤー業同様に、扱っている商品については非常に深い知識が要求される仕事です。私の友人や上司はもともとセリ人に就職した人も多く、その多くが独立し新たに自分で会社を興しています。大きな市場のセリ人にはそれだけ多くの人脈ができるようになります。

■市場の仲卸業者:仲卸業者は、市場で卸売業者から仕入れた商品を小売店や飲食店などに販売することを生業としています。多くの魚種や商品に対し専門的な知識が求められます。

魚の三枚おろしなどの加工や、商品を少量に分けることやお客へ配送することなども仕事のひとつです。市場外流通の発達により卸売市場の経由率が減少している中、仲卸業者も全国的に減少傾向にあり就職先も少ない現状があります。

■IT業:近年、水産業界には話題性のあるベンチャー企業がいくつも出現しています。水産物を扱うベンチャー企業に就職するのも有効な手でしょう。飲食店に魚をお届けする仲卸業者のような機能を持った会社や、養殖場の現場でIoTを活用し最適な養殖環境を創造する会社、漁師や産地市場から飲食店や小売店へ直接販売するプラットフォームを運営する会社など、ユニークなベンチャー企業がたくさん生まれています。

これらのベンチャー企業に就職した場合、まず担当するのは法人営業が多くなると思います。ただ水産ベンチャー企業に就職した場合、自ら希望すれば営業から生産管理、バイヤー業まで様々な仕事を経験できる可能性が高いです。

水産業界の代表的な大手企業

マルハニチロ株式会社

売上高:8,732億95百万円という巨大企業です。巨大な会社が故に、就職したら実際に魚を漁獲する漁業から、海外から魚や商品を輸入する輸入業、業務用の食品を販売する卸売業、商品を生産するメーカー業、物流や保管など実に様々な仕事を経験する可能性があるでしょう。

実際に生の魚を直に触れることはほとんどない方が多いと思います。魚が好きで入社したけど就職してからまったく魚を触らずに数年を迎えた、なんてこともあるかも…?一方、世界中から魚介類を集めてくる会社ですので、海外で活躍したいという方には多くのチャンスがあるかもしれません。

実はマルハニチロは日本の漁業にも大きな発言権を持つ会社です。近年では「BLUE CREST」という完全養殖のクロマグロのブランド化にも着手しているようですね。就職したらマグロの養殖に関わりたいと思っている方もいるのではないでしょうか。

日本水産株式会社(ニッスイ)

売上高:6,371億64百万円
日本水産という正式名称よりも、ニッスイという通称のほうが有名かと思います。スーパーに並んでいる冷凍食品のイメージが強いかもしれませんが、実はれっきとした水産会社でもあります。

ニッスイは冷凍食品のほか医薬品やサプリメント事業も好調なようで、魚油から製造するEPA(エイコサペンタエン酸)やカニ由来のグルコサミンなどの研究の第一人者でもあるようです。

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