ひな祭りにハマグリの由来は?一般に食べているのは外来種?名前の由来、種類、産地をご紹介します

ひな祭りにハマグリの由来は?一般に食べているのは外来種?名前の由来、種類、産地をご紹介します

ひな祭りの食材といえばハマグリ

3月3日はひな祭り。ひな祭りにはちらし寿司やひなあられなどの料理が登場しますが、中でも代表的なものは蛤のお吸い物ではないでしょうか。地域によってはサザエのつぼ焼きや甘酒、うにが入った厚焼き卵が登場する地域もあるそうです。

市場に並ぶ新鮮なハマグリ
市場に並ぶ新鮮なハマグリ

ひな祭りにハマグリを食べる理由は?

ハマグリは縁起の良い貝として珍重されており、ひな祭りや結婚式でよく用いられます。それは何故なのでしょうか?

理由はハマグリの貝殻の特徴にあります。ハマグリの貝殻は、他の個体を合わせてみても決してぴったり合うことがないため夫婦和合の特徴とされているのです。

女の子が一生離れることのない唯一の伴侶を得て幸せになりますように、という願いを込めてひな祭りに登場するようになったようです。(今の価値観には合わないことかもしれませんが)

ちょうどその時期はハマグリの産卵期前で栄養を蓄える、いわゆる旬の時期にあたるため身が大きくなり味もよく、栄養価も富んでいます。

ちなみに、他の個体ではぴったり合わないという性質を利用して、鎌倉〜室町時代から行われている「貝合わせ」や「貝覆い」と呼ばれる遊びがあります。ハマグリの殻の内側に絵柄や和歌を描き、対応する貝殻同士を集めるというものです。

出回るハマグリには在来種と外来種など3種類が存在

ひとくちにハマグリといっても、実は流通しているハマグリには3つの種類があり、区別されずすべて「ハマグリ」の名前で流通しています。

すなわち日本在来種の「ハマグリ(内湾性)」、こちらも日本在来種の「チョウセンハマグリ(外洋性)」、大陸原産の外来種「シナハマグリ」です。

ハマグリの名前の由来

ハマグリの名前の由来は「浜の栗(浜栗)」の意味で、形が栗に似ているからという説があります。たしかに大きさも形も栗に似ていますね。

ハマグリ

分類:マルスダレガイ目マルスダレガイ科ハマグリ属
英名:Japanese Hard clam
標準和名:ハマグリ
学名:Meretrix lusoria
日本在来種
標準和名(日本で学名の代わりに使用される、生き物の学術的な名前)でいうところのハマグリがこちらです。

三重県桑名のハマグリ
三重県桑名のハマグリ

もともと日本の内湾にはこのハマグリがたくさん獲れていましたが、開発による汚染や埋め立ての結果激減し、一般にはまったく出回らなくなりました。絶対数も非常に少なく、2012年に環境省レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)の『絶滅危惧Ⅱ類(VU)』に指定されています。

国内では伊勢湾、有明海などの干潟に暮らしており、とくに熊本県で獲れるハマグリは多くがこのハマグリです。後述するチョウセンハマグリやシナハマグリと非常によく似ておりプロでも見間違うレベルです。

綺麗なハマグリ。こちらは江戸前産
綺麗なハマグリ。こちらは江戸前産

かつては東京湾内でもたくさん獲れ、東京湾はハマグリの一大産地だったそうですが、開発に伴いその数を減らしていき、千葉県では『野生絶滅』となっています。

チョウセンハマグリ

分類:マルスダレガイ目マルスダレガイ科ハマグリ属
英名:Common shield-clam
標準和名:チョウセンハマグリ
学名:Meretrix lamarckii
日本在来種

千葉県九十九里や鹿島灘で獲れるハマグリは、豊洲市場では『地ハマグリ(じはまぐり)』と呼ばれ高値で取引されています。そのハマグリがこのチョウセンハマグリです。

「チョウセン」と名前がつきますが、国内の在来種です。輸入ものと誤解されないよう、鹿島灘ではチョウセンハマグリという名前を用いず「鹿島灘はまぐり」という名前で販売しています。漢字では『朝鮮蛤』または『汀線蛤(波打ち際にいる蛤の意)』と記す例があり、その論争の種になることもしばしば。

千葉県の一部地域では本種の3cmほどの小さいものを「じゃみ」や「ぜんな」と呼び、お吸い物や味噌汁などに入れて食べています。柔らかくダシが強く出て非常に美味しいです。

流通しているハマグリのほとんどが「ハマグリ」ではなく近縁種の「シナハマグリ」や「チョウセンハマグリ」とされています。慣れていないと見分けることは難しいです。

シナハマグリ

分類:マルスダレガイ目マルスダレガイ科ハマグリ属
英名:Hard clam
標準和名:シナハマグリ
学名:Meretrix pethechialis
環境省指定要注意外来生物
日本の侵略的外来種ワースト100

そして、日本の食用ハマグリとしてもっとも多く出回っているのがこちらのシナハマグリです。もともと日本に分布していた種類ではなく、朝鮮半島、中国、ベトナム等が原産国です。

前述した在来のハマグリとこのシナハマグリが交雑している可能性が指摘されており、日本の侵略的外来種ワースト100に指定されています。

ひな祭りシーズンにはスーパーや鮮魚店などにハマグリが出回りますが、ほとんどがこのシナハマグリです(台湾産、中国産など)。市場ではサイズごとにいろの異なるカゴで入荷してきます。

主観ですが味はハマグリやチョウセンハマグリよりは劣るものの、非常に美味しい貝です。在来種ハマグリの1/2から1/3の価格で流通しています。

『白ハマグリ』はハマグリではない!

スーパーなどで「白ハマグリ」という名前の貝が売っているのを見かけたことはないでしょうか?

これが白ハマグリ(ホンビノスガイ)
これが白ハマグリと呼ばれているホンビノスガイ

実は白ハマグリは「ホンビノスガイ」というハマグリとは全く異なる種類の貝です。近年日本各地で繁殖しており、ハマグリよりもずっと安価なため居酒屋さんなどでよく使われています。

いわゆる「浜焼き」のようなお店ではほとんどがホンビノスガイを扱っているのではないでしょうか。ハマグリと比較するとダシの旨味に欠け、身質は少し硬めですがとても美味しい貝として非常に注目されています。

ハマグリの主な産地

スーパーなど小売店で流通しているハマグリのほとんどは中国産または台湾産です。

国産を見かけることがあっても、非常に高値なのでなかなか食べる機会は少ないと思います。

三重県桑名のハマグリ
三重県桑名のハマグリ

参考
国立環境研究所
https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/45/04-09.html

熊本県ハマグリ資源管理マニュアル
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_22366.html

相模湾大磯地域におけるチョウセンハマグリの生息を制限する要因
http://nh.kanagawa-museum.jp/files/data/pdf/bulletin/42/bull42_97-106_sato_s.pdf

沈黙の干潟 ―ハマグリを通して見るアジアの海と食の未来―
http://www.takagifund.org/grantee/r2004/01-085.pdf

はさき漁協 産地直送! 鹿島灘はまぐり
http://www.portland.ne.jp/~hasaki/hanbai/faq.html

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