メダカの繁殖には『産卵床(さんらんしょう)』が便利
室内の水槽や室外の鉢でメダカを飼育している皆様は、どのようにメダカの卵を集めていますか?
落ちている卵を回収したり、直接筆や指で卵をとったり、水草に産み付けさせたりなど、いろいろな方法がありますよね。
人によってはヤシの皮などを水槽に沈めている方もいるそうです。このようなメダカが産卵する場所を人工的に導入したものを『産卵床(さんらんしょう)』といいます。
産卵床の種類
産卵床にはいくつかの種類があります。極端にいえば毛糸を沈めておくだけでも良いのですが、メダカは繁殖シーズンになると毎日のように産卵するため、卵の回収のしやすさも産卵床としての性能のポイントになってきます。
また、せっかく鑑賞目的で美しいメダカを飼っているのですから、たとえ産卵目的のグッズだとしても見た目の美しさや飼育環境に調和しているかどうかも気にしたいところです。
そこで産卵床の種類をいくつか紹介するとともに、それぞれの使い勝手(卵の産み付け具合や回収のしやすさ)や欠点などを解説します。
アナカリスやマツモなどの水草
メダカが産卵する場所と聞いて一般的に思いつくのは水草ではないでしょうか。野生のメダカも水草などの水生植物を産卵床にしていることがあります。
アナカリス(オオカナダモ)やカボンバなどが代表的ですね。メダカはこうした水草に卵をくっつけます。
水草は産卵床としては意外と使いにくい
しかし、メダカによっては積極的に卵をくっつけることはせず床に落ちてしまっていることもあります。
また、飼育容器内の砂利や土に植えている場合だと卵を回収するのが困難です。
産み付けられた卵は意外と確認するのが難しく、植えた水草を引き抜かなければならない場面もあり、水草を産卵床として扱うと卵を安定的に回収するのは難しいと思います。
アナカリスは要注意外来生物に指定されている
以下、本編とは関係ない話題となりますが注意が必要です。
水草としては非常に丈夫でCO2の添加もいらず、独特な美しさのあるアナカリスですが、実は後述するホテイソウと同じく『日本の侵略的外来種ワースト100』に指定されています。
育てる際は決して野生に放つことのないようにしましょう。
ホテイソウなどの浮草
次に有名なのがホテイソウ(ホテイアオイ)ではないでしょうか。
夏のイメージがぴったりなホテイソウはメダカの産卵床としてはぴったりです。
水面に露出していない根の部分はふさふさしたヒゲのようになっていて水中に広がり、1本1本がブラシのようになっています。
それがメダカの卵の付着糸(卵がくっつくための糸)に絡んでメダカの産卵床となるんですね。
涼し気な雰囲気もありメダカの産卵床としては優秀といえますが、いくつかの欠点があります。
ホテイソウの産卵床としての欠点はどんどん大きくなってしまうこと、強い太陽光が必要なため水槽など室内飼育には向かないこと、通常の状態では冬越しができない(枯れてしまう)ことです。
ホテイソウはメダカの産卵床としては優秀だが要注意外来生物
また、ホテイソウは野生化した場合、在来水生植物やイネと競合してしまうことから要注意外来生物および日本の侵略的外来種ワースト100に指定されています。
ホテイソウをご自宅で育てる場合、絶対に野生に放したり流出してしまわないようにしてください。
スポンジなどで自作する
インターネットで『メダカ 産卵床 作り方』などで検索するといろんな自作グッズが出てきます。
よくあるのがキッチンスポンジの硬い部分を足にした、浮かべるタイプのものではないでしょうか。
私も自作した産卵床を使ったことがあるのですが、あの硬さがメダカに気に入ってもらえるのか、卵はけっこうとれた記憶があります。
しかしあまり美しくない(かわいくない)…。作るのにも手間がかかるのが欠点ですね。
やっぱりメダカの産卵床ってあまりかわいくない…
もっとも手間がかからず、効果もそれなりに期待できるのが、市販されている産卵床を使うことです。しかし、あんまりデザイン的にかわいいものがないんです。(産卵床にかわいさを求めるのも変な話かもしれませんが。)
熱帯魚のウィローモスのようにもこもこしたものが水槽に沈んでいたら産卵床としてはかわいいかなと思いましたが、メンテナンスを考えると難しい。
ということで、苔玉を浮かべればかわいいしメダカの産卵床になるのではないか?と思い開発したのがめだか水産オリジナルの『苔ボール』です。
浮かぶ素材にシノブゴケを巻き付けたメダカ向けの苔玉
こちらが苔玉を産卵床にできないか?ということで開発した『苔ボール』です。
発泡スチロールを丸く成形し、水辺を好む苔の一種である『シノブゴケ』を巻き付けてあります。
しばらく乾燥させてしまっていたため苔自体の色がだいぶ変色してしまっていますが、水に漬けておけば新たな芽?が生えてキレイになります。
見た目は大したことはないように見えるかもしれませんが、コレがなんとばっちり産卵床になるんです!すこしでもおしゃれにメダカを楽しみたい、メダカと苔を同時に楽しみたい方にはとてもおすすめできます。
メダカがしっかり卵を産み付けている!
水槽に浮かべておいただけで、こんな風にメダカが卵を産み付けてくれるんです!浮かんでいるので卵の回収も楽ですね。※ちなみに水槽は冬場はヒーターで加温してあります。
あとは指でやさしくひとつずつ卵をとってあげるだけ。複数の苔ボールを水槽に浮かべていますが、多いものでは1日20個ほどの卵が回収できました。春になったらもっと産卵数が期待できそうです。
苔玉とメダカの相性はよさそう。一緒に楽しめる
和の雰囲気をもつメダカと苔玉は、なかなか相性がよさそうです。メダカの飼育というと鉢と水草、というのが定番ですが、こういった楽しみ方もできると思います。ぜひ、自分だけのメダカライフを楽しんでみてくださいね。
めだか水産苔部および各地マルシェ会場で販売しています
めだか水産オリジナルの苔ボールはめだか水産苔部と、私たちが出店している各地のマルシェ会場にて販売しています。詳しくは下記webサイトでご覧くださいませ!