活きたクルマエビって、産地からおがくずに包まれて輸送されるって知ってましたか?今回はそんなクルマエビの輸送方法について解説します。これを読めば誰かに話したくなること間違いなしですよ!
クルマエビはおがくずに包まれて活きたままやってくる!?
まずはこれを見てください。白い袋の中には湿ったおがくずが…。これ、何が入っていると思いますか?
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タイトルからまるわかりですが、なんとこの中には元気いっぱいの新鮮な活きたクルマエビが入っていたのです!実は活きたクルマエビはこのようにして産地から市場へ運ばれていきます。

産地から直接クルマエビを輸送してもらっているお寿司屋さんや天ぷら屋さんも、こうしておがくずに包んで運んでもらっています。
おがくずに包まれている理由
クルマエビは沖縄県や鹿児島県などで養殖され産地から市場へと輸送されるのですが、活きたエビならではの香りと食感、色がクルマエビの持ち味。活きていなければクルマエビの価値はぐっと落ちてしまいます。
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それで考案されたのがなんとこのおがくずに包んでの運び方。前回の記事でもご紹介しましたが、自然状態のクルマエビは流れが比較的緩やかな湾内の泥や砂の中に暮らしています。そのため、こうして濡らしたおがくずに包んであげると自然環境に近くなりおとなしくなるのかもしれません。
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なぜおがくずの中でも生きていけるの?
ちょっと食材から離れて生物の話になるのですが、エビやカニなどが含まれる十脚目というグループは殻の内側(クルマエビでは頭のあたり)に、呼吸器官であるエラがあります。

このエラが湿っていれば、空気中の酸素をエラの水分を通して取り込むことができるのです。カニやザリガニ、ヤドカリなども形は違いますがクルマエビと同じく十脚目というグループに属しています。彼らが陸の上で歩き回っているのと同じことですね。そのため濡らしたおがくずに包んでエラの乾燥を防いでいたのです。以下にめだか水産で撮影した動画を紹介します。エラの動きがよくわかります。
もちろん生きていけるといっても短期間のみでの話です。輸送されたクルマエビは市場に入荷すると、すぐに大きな水槽に入れらて大きさごとに選別されます。おがくずはあくまでも元気な状態で運ぶための手段なんですね。
エビは死んでしまうと価値が半値以下!?
実はエビは死んでしまうとすぐに自分の体内にある酵素で自己消化を起こしてしまい、急速に鮮度が低下していきます。クルマエビでは全身の色が褪せてしまい、足の部分から赤くなってきて、こうなると味も食感もぐっと落ちてしまいます。

市場ではこうしたエビを「あがり」と呼び、活きたエビの半値以下で販売されることもあるほどです。それでもとっても美味しいのですが。ご家庭でエビを調理する際も、前述の理由からニオイが出るのが早いので、殻などはゴミ捨ての日まで冷凍しておくと良いかもしれません。
豆知識!甘えびは鮮度が落ちたものほど甘い!?
前述したエビの鮮度落ちですが、例外があったりします。回転すしなどでも人気の甘えび(ホッコクアカエビ)は、実は獲れたてのものを食べてもちっとも甘くないんです。あのとろけるような食感もなくてなんだか味気ないくらい。実は甘えびは死後、自らの体内にある酵素によって自己消化を起こしていきます。その消化によって体内の筋肉(たんぱく質)をアミノ酸に変化します。自己消化が起こるため、甘えびはあのとろける食感と甘さになるのですね。海外で甘えびの仕入れを行っている友人から聞いた話では、普通の魚なら漁獲してから船ですぐに凍結したもののほうがおいしいのですが甘えびは漁獲してから陸に水揚げしてから凍結したもののほうが美味しいそうです。驚きの甘えび豆知識でした。
活きたクルマエビは最高の美味しさ!茹で方と準備について
閑話休題。活きたクルマエビは高級なお寿司に使われるくらいですから本当に美味しいです。今回はシンプルに塩ゆでにしてみました。
築地の仲卸さん曰く、料理する30分前くらいから冷凍庫に入れておけばおとなしくなるよ。とのことだったので、冷凍庫にイン!その間にお湯を沸かして塩を入れておきます。
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おがくずをきれいに洗い流して沸騰したお湯に放り込みます。みるみるうちに赤くなっていくクルマエビたち。
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2-3分ほど茹でて、ザルにあげていただきます。
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この赤さと美しい模様こそが活きたクルマエビならではです。とはいえご家庭で活きたクルマエビを調理するのはなかなかハードルが高いと思います。めだか水産直販部では、クルマエビに負けない美味しさの、鮮度の良いフラワーエビやブラックタイガーなどを販売しています。ぜひめだか水産直販部をご覧ください!

おがくずに入ったクルマエビの保存方法
おがくずに入ったクルマエビは、当日食べない場合は気温5℃から15℃くらいの涼しい場所に保存しておきましょう。温度変化が早い場所や暖かい場所に置いておくと逆に死んでしまって鮮度が落ちてしまう場合があります。その状態で1~2日でしたら活きています。夏場はその日のうちに食べてしまうか、冷凍することをおすすめします。
お歳暮などでいただいてしまったけどしばらく食べる予定がない…という場合には、冷凍保存が可能です。おがくずを洗い流して冷凍しましょう。
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