メダカの副業で儲かるってホント?
近頃、品種改良で色とりどりのメダカが生み出され、にわかに脚光を浴びています。
TV番組『マツコの知らない世界』で高級メダカが紹介されたり、SNSやニュースなどでも度々メダカが取り上げられるようになっていますよね。
そんな高級メダカですが、副業ビジネスとしても注目を浴びていると言う噂があるのをご存知でしょうか?
この記事では、実際にメダカを販売している私たちプロの目線から、メダカの副業に関するメリット・デメリットや売り方、注意すべき点などをお伝えいたします。
先に結論を述べておくと、まったく魚を飼育したことがない人がメダカの副業ビジネスに挑戦するのはおすすめできません。
逆に言えば、一度魚を飼育するテクニックを身に付ければメダカの副業はそこまで難しいものではありません。
メダカ副業ビジネスのやり方
メダカの副業ビジネスは、高級なメダカの卵や稚魚を繁殖させ、それらをネット上やオークション、またはペットショップなどで販売するという、比較的「簡単」かつ手軽なビジネスです。ここでの「簡単」という意味は販売開始するだけという意味です。
このビジネスの魅力は、その需要の高さにあります。メダカは観賞用の熱帯魚として人気があり、特に高級な品種はコレクターや愛好家の間で高い評価を受けています。そのため、高品質なメダカの卵や稚魚を販売することで、高品質であれば一定の利益を得ることができます。
また、このビジネスは比較的低コストで始められるため、初めての副業ビジネスにも適しています。必要な道具や材料も、水槽やエサなど比較的手軽に入手できます。さらに、繁殖には比較的少ない労力しか必要とせず、副業としては費用と労力の観点からハードルは低いです。
商品を仕入れて販売するのとは異なり、理論上は一度メダカや水槽など必要なものを仕入れてしまえば餌や水道代、電気代、カルキ抜きなどの維持コストのみで販売し続けることができます。
このことからメダカの副業は(理論上は)初期投資が少なく利益率が良い副業と言えるのかもしれません。以下に、メダカの副業の始め方を解説します。
ステップ1:親メダカを手に入れる
まず、卵や稚魚をとるための親となるメダカを購入します。副業でメダカを販売するときには、できる限り高単価で、今現在売れている人気の品種よりもこれから売れそうな品種を選定することが大切です。
近所にメダカ専門店や養魚場がある場合は別ですが、親メダカの仕入先はヤフオクや通販、高級な品種を扱うアクアリウムショップなどを利用するのが良いでしょう。
ステップ2:大きく育てて卵を産ませる
親メダカを入手したらここからが副業ビジネスの肝となるところですが、買ってきたメダカを産卵サイズまで大きく育てて産卵させ、卵を取りましょう。
卵を産むサイズになるには、季節や地域にもよりますが卵から育てておよそ3~4ヶ月かかります(春~夏)。その間にまったく卵を産まなかったり親メダカが死んでしまったら全く商品がなくなってしまう、ということを理解しておきましょう。
商品を仕入れて売る『せどり』等の副業とは違って、初期費用さえ用意してうまく飼育すれば基本的には卵が増えていくだけ。しかもメダカは6月頃から10月頃まで、健康状態が良ければ毎日のように産卵します。
生き物の飼育が得意な人にとってはリスクが低いと言えるのかもしれませんが、最近の高級メダカは品種によっては飼育や繁殖が難しいものもありますので、誰にでもできる副業ではないかもしれません。
ステップ3:卵をヤフオクなどで販売する
無事に卵や稚魚をとることができたら、ヤフオクやBASEなどのショップで販売します。出荷する際は卵はメチレンブルー水溶液など防カビ処理をしたり、夏場であれば保冷剤を入れたりする必要があります。
メダカ副業のメリット
メリット:初期投資が安い(1万円あれば可能)
副業を始めるにあたり気になるのは初期投資の金額ですよね。メダカは前述したように日本の気候そのままで育てられる生き物です。
しかも屋内も屋外でも飼育することができます。飼育に必要なものやメダカの飼い方については、過去の記事をご覧ください。
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メダカの飼育に必要なもの
メダカの飼育に最低限必要なものは、本当に極端に言えば下記のものだけです。
- 水が漏れない容器(道具箱のようなものでもOK)
- 餌
- カルキ抜き
- 親メダカ
めだか水産がおすすめする餌は『メダカの舞』シリーズです。少し価格は張りますが、水を汚しにくく、メダカの成長サイズに合わせて餌を選べるのでぐんぐん成長します。
早く育つということはそれだけ産卵も早く始まりますので、餌の選択は副業での飼育にとって非常に重要です。特に粒の大きさと栄養成分、浮上性が重要です。その点においてメダカの舞は非常に優れた餌です。
メダカの飼い方の記事でも紹介していますが、メダカの飼育環境によってはフィルター(ろ過器)が必要です。エアポンプと投げ込み式フィルターを使用すれば、よりローコストでメダカの副業飼育を始められます。
メリット:飼育がさほど難しくない
メダカは日本の気候に合った生き物です。北海道から沖縄まで広く分布し、日本の厳しい猛暑も、水槽の表面が凍り付くような真冬も乗り越えることができます。(品種によっては体質的に弱いものもいます)
小学校の理科の教材で使われるほどポピュラーな生き物なので、しっかり勉強すれば基本的に誰でも簡単に飼うことができます。挑戦するハードルが低いのもメダカの副業ビジネスのメリットですね。
熱帯魚やカブトムシ、クワガタ虫などの昆虫と違い、基本的に加温などの調節がいらないのも魅力です。
メリット:新しい品種は非常に高値で売れる可能性がある
現在、10年ほど前から始まったメダカブームは未だ衰えを見せず、新しい品種が出るたびに高いものでは1ペアで数万円~数十万円という非常に高値がつくこともあります。
観賞魚業界には数年おきにこうしたブームが起こるのか、20年ほど前はレッドビーシュリンプと言う小さな小さなエビがメダカのような品種改良で1匹数万円と言う高値をつけ、副業ビジネス界でも盛り上がっていました。
メダカは自らが新しい品種を生み出せると言うのもメリットになってくると思います。もはやそこまでのレベルに達すれば副業とはいえませんが…。
メダカ副業のデメリット
デメリット:メダカ飼育の知識が必要
そもそも生き物を飼育する基本的な知識がないとメダカの副業ビジネスにチャレンジするのは困難です。
メダカは水道水に適当に入れておけば勝手に増えるものではなく、高級品種であればなおさら水質や餌にうるさく飼育には注意が必要です。
知識を全く身に付けずにメダカ副業にチャレンジした初心者の方は、必ず一度は飼育や繁殖に失敗すると思います。
メダカの副業ビジネスに本格的に取り組むには、過去にメダカを飼育したことがある人、生き物の飼育に慣れている人でないと難しいでしょう。
メダカを1度も飼ったことがなくてこれからメダカの副業ビジネスにチャレンジしようと思っている方は、メダカの飼い方や必要な機材などをご紹介している私たちの過去の記事だったり、ネット上や本にもあふれているメダカの飼育方法をしっかりご確認ください。
デメリット:生き物を輸送する知識が必要
当たり前ですがメダカは生き物です。卵だけを送るにも生き物を発送する知識が必要なのは言うまでもありません。
卵を発送する場合でも、卵はニワトリの卵などとは異なり意外と丈夫なものですが、例えば夏場は保冷が必要になってきたり、冬場は凍結に注意したりと繊細さも求められます。
また、無精卵と有精卵の見分け、メチレンブルーなどによる輸送中のカビ対策も必要になってきます。
ここでは詳しく述べませんが、メダカや卵を発送する際にも専門的な知識が必要なのです。これも有名な副業であるせどりと大きく違うポイントですね。
デメリット:販売シーズンが限られている
メダカは一般的に屋外で飼育している方が多いため、春から夏にかけて販売が盛んになりますが、冬場は売り上げが落ちるのが通常です。
おおむね3月から10月までが販売シーズンになります。水温が低い冬の間は屋外だと卵も産まないため、オフシーズンにも売上を確保するためには室内飼育でヒーターなどで加温して育てる必要があります。
デメリット:怪しい商品、怪しい販売者がいる
最近、ニュースでも話題になりましたが、遺伝子組み換えメダカを販売するのは犯罪行為です。
遺伝子組み換えによって作られたメダカが、自然界の生態系に深刻な影響を及ぼす可能性があるからです。また、遺伝子組み換えが健康に及ぼす影響についても不透明な部分が多く、安全性についても疑問が残されています。
犯罪行為とまでは言えないまでも、卵の状態での販売する際に高級な品種や人気の品種を語る販売者がいることは念頭に置いて、メダカの仕入れを行わないと思わぬトラブルに巻き込まれる危険性があります。
デメリット:流行り廃り、値崩れがある
メダカの品種には流行が存在し、特に美しい模様や色合いのものは高価な値段が付くことがあります。しかし、流行は変化し、時期が経つと価格も下がってしまうことがあります。そのため、副業としてメダカの卵や稚魚を販売する際には、需要と供給のバランスを見極めて値段設定を行うことが重要です。
また、品種の繁殖にも時間と手間がかかるため、単純に流行りの品種を狙うだけではなく、売れないメダカをたくさん在庫として抱えてしまうリスクがあります。
メダカを販売する際のポイント
メダカの卵は基本的にヤフオクなどオークションサイトで販売することになるかと思います。
写真は最も大事なアピールポイント!加工しすぎは低評価の危険
メダカを副業で販売する際には、商品のアピールポイントであるメダカの写真が非常に重要です。撮影時には、ラメが目立つように、体色が鮮やかに写るように気をつけましょう。
写真と現物を近づけるために明るさやコントラストなどの加工をするのは良い工夫ですが、やりすぎると顧客から「写真と色が全然違う!」というクレームを避けるためには、現物と写真が近い色になっているかどうか確認することが必要です。このような注意点を守ることで、より多くのお客様からの支持を得ることができます。
スマートフォンで撮影する場合が多いかと思いますが、メーカーによっては必要以上に赤色や黄色が鮮やかに写ってしまう機種もあります。なるべく実際の色に近づけることでクレームを未然に防ぐことができます。
説明文で血統や特徴をできる限り詳しく書く
メダカ副業においては卵や稚魚などその品種の特徴がまだ出ていない状態で販売するため、判断の基準となるのは出品者の信頼が非常に大きなポイントです。
「親魚はどこでどのように入手した個体か」「固定率はどの程度か」など、購入者が安心するように嘘偽りなく記入しましょう。
「人気の〇〇という品種に似た個体が出たから、〇〇として販売しよう!」というのは絶対にやってはいけません。詐欺です。
副業のメダカ販売に挑戦する際の注意点
絶対に野外に放流しないこと
副業をあきらめたり、副業に回している時間がなかったりすると、もしかしたらメダカを手放したくなる時もあるかもしれません。
しかし、品種改良メダカは絶対に野外に放流したり捨てたりしてはいけません。特に品種改良されたメダカは、野外で繁殖することで在来種と交雑し、生態系のバランスを崩すことがあります。副業を始めたときには、メダカを飼うことの責任を理解し、手放す場合には引取先や処理の方法を考えるようにしましょう。
副業をあきらめたり、世話が追い付かなくなった場合には、メダカを手放す前に専門の団体や飼育家に相談することもできます。また、メダカを販売する場合にも、野外放流の危険性について十分に伝えることが必要です。私たちが自分たちの責任で生き物を飼うことは、その生き物たちにとっても社会全体にとっても大切なことです。
メルカリなどのフリマアプリでは売れない
メルカリやラクマといった一般的なフリマアプリでは、生き物の販売は規約により禁止されています。そのため、メダカをはじめとする生き物の販売を行うことはできません。
このような規約には、生き物が買い手に適切に届かなかった場合に起こるトラブルを未然に防ぐための意図も含まれています。また、生き物の販売は個人が販売することが難しく、専門的な知識や許認可が必要とされているため、販売が制限されているとも言えます。
生き物を扱う場合には、適切なルートを通じて販売することが重要です。専門的なショップやオークションサイトなど、適切なルートを利用して販売することで、買い手に安心して取引をしてもらえるようになります。
フリマアプリを使えないということは、代金回収の方法も自分で考えなければならないということです。例えば、口座振込や郵便振替、PayPalなどのオンライン決済サービスを利用する方法があります。また、現金書留や代引きなどの方法もありますが、手数料がかかるため販売価格に上乗せする必要があります。いずれの方法を選んでも、迅速かつ丁寧に対応することが信頼を得るために大切です。また、自分が販売する側だけでなく、購入者としてもトラブルにならないように、出品者の評価や口コミを確認することや、購入前に出品者に質問することが重要です。
必ず「選別漏れメダカ」が出てくる
たくさんのメダカを飼育するようになると、商品として売ることができない「選別漏れ」の個体が必ず出てきます。
選別漏れの個体の処理方法もあらかじめ考えておく必要があるでしょう。近くの川に放流…なんていうのはもってのほかです。
最終的に、メダカの副業はおすすめできません
ここまで副業としてのメダカ販売について紹介してきましたが、最終的に言えることは「メダカ好きな人でないと副業としてつづけるのは難しい」です。
趣味としてメダカの繁殖や品種改良をしている方が小銭稼ぎ程度に販売する、くらいが良いのではないでしょうか。