日本に生息しているいわし重要種は3種類
世界にはイワシが300種類以上生息してるといわれています。いわし類は海では他の魚や哺乳類、鳥類などの肉食性の動物たちの食物になっており、海の生態系にとって非常に重要な魚種です。
日本の水産資源から考えても、マグロやブリ、カツオ、サバなど大型魚類の餌となっているほか、養殖魚類の主要な餌に使われていることから古くから大変重要な種類です。
このいわし類から、日本で利用されている主ないわし3種類をそれぞれ紹介します。
マイワシ
まずはマイワシです。マサバ(真鯖)やマダラ(真鱈)、マガキ(真牡蠣)など、「マ」がつく種類はそれらの仲間の代表を表します。
真鰯ということは、イワシの中でも代表的な種類がこのマイワシです。
ニシン目ニシン科マイワシ属
学名:Sardinops melanostictus
英名:Japanese sardine
利用用途:すし、刺身、塩焼き、寿司、干物、フィッシュミールなど
地方名:ヒラゴ、ナナツボシ、など
マイワシは日本沿岸域で巻き網や定置網、棒受け網や底引き網、釣りなど様々な漁法で漁獲されます。
利用用途も非常に多岐にわたっています。後述するイワシ2種よりも脂ののりがよくサイズも大きいためか、刺身やすしに利用されることも多いです。
お寿司屋さんで「イワシ」というと、関東では多くの場合この「マイワシ」になります。
市場ではその大きさによって、小さいものから「小羽(こば)」、「中羽(ちゅうば)」、「大羽(おおば)」と呼ばれて区別されます。
大きいもののほうが一般的に脂が乗っており評価が高くなります。
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マイワシは1990年代に激減したが近年では増加傾向
マイワシは1990年代からその資源量が激減しました。ニュースや新聞で『イワシが高級魚になってしまった!』と連日報道されていたので、記憶にある方も多いのではないでしょうか?
あれから20年ほどが経過して、実はマイワシの資源量は近年増加傾向にあります。脂ののった美味しい個体が多くなっている印象もあり、これから消費が増えてくるのではないでしょうか。
資源水準は中位、過去5年間の資源量・親魚量の推移から、資源動向は増加と判断した。
引用:マイワシ太平洋系群令和元(2019)年度資源評価結果|水産庁
https://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_koukan/attach/pdf/index-77.pdf
カタクチイワシ
カタクチイワシは漢字で片口鰯と書きます。
口が非常に大きく、上あごが下あごに比べて前方に飛び出て見えることから口が片方に寄っている、ということで片口鰯と呼ばれるようになったとか。
ニシン目カタクチイワシ科カタクチイワシ属
学名:Engraulis japonicus
英名:Japanese anchovy
利用用途:しらす、刺身、カツオ一本釣りの撒き餌、フィッシュミールなど
別名:セグロイワシ、シコイワシ、ヒコイワシ、アオイワシ、など
生しらすやしらす干しの主な原料
生しらすやしらす干しに使われているのは主にこのカタクチイワシです。水揚げ後すぐに塩ゆでされたものを「釜揚げしらす」、天日干しや送風機などで乾燥されたものを「しらす干し」といいます。
カタクチイワシは生で流通するよりも圧倒的に加工原料に使われることのほうが多いです。
マイワシやウルメイワシよりも鮮度が落ちやすく、刺身で流通することは稀です。刺身で提供しているお店があったら、それは鮮度に自信がある証拠かもしれません!
煮干しやアーモンドフィッシュなどに使われているのもカタクチイワシ!
しらすよりもサイズが大きいものは、アーモンンドフィッシュや煮干しなどに加工されます。
煮干しはその名のとおりカタクチイワシを一度煮てカラカラに干したものです。煮ることで腐敗を防いでいます。
カタクチイワシはそのまま食べるものから出汁に使うものまで非常に用途が広いですね。
アンチョビといえばこのイワシ
パスタやソースなどに使われるアンチョビやオイルサーディンも主にこのカタクチイワシが使われています。
ウルメイワシ
ウルメイワシは目が大きくうるうるしていることからその名前が付けられました。目の中の脂瞼(しけん)と呼ばれる膜が厚いため、目がうるんで見えるといわれています。
本項で紹介している3種類のいわしのうち最も漁獲量が少なく、あまり目にする機会はないかもしれません。主に南方に生息している、比較的脂の少ないいわしです。
ニシン目ニシン科ウルメイワシ属
学名:Etrumeus teres
英名:Round herring,Maray?
利用用途:煮干し、目刺し、丸干し
別名:ウルメ
目刺しに使うのは主にウルメイワシとカタクチイワシ
目刺しってたま~に食べますよね。目の部分がくりぬかれていてわらでつなぎあわせたいわしの丸干しです。
ウルメイワシはカタクチイワシと同様に目刺しに利用されます。鮮魚で出回ることはあまりありませんが、刺身でも大変おいしい魚なので鮮度のよいものが手に入ったら一度お刺身を試してみることをおすすめします!
今はマイワシの資源回復が著しい様子。マイワシを食べよう
以上3種類のいわしをご紹介してきましたが、このうちマイワシは資源状態が回復してきており今後も漁獲量の増加が見込めそうです。
水産業者各社も、いわしの缶詰などの加工品の製造を進めているようです。マイワシは脂のりもよく、缶詰なら骨まで丸ごと食べられます。
そして今注目されている不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)を非常に多く含む健康食材です。
また、たんぱく質も多く含んでおり糖質が低いのでダイエットにも効果があるといえます。
今サバ缶が注目されていますが、今後はきっといわし缶がブームになるのではないでしょうか。皆さん、これからいわしに目が離せないですね!
- 阿部宗明著 1963年『原色魚類検索図鑑Ⅰ』発行:北隆館
- 講談社編 2013年『からだによく効く旬の食材 魚の本』発行:講談社
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