イワシは養殖していないの?できないの?完全養殖は?素朴な疑問にプロがお答えします

イワシは養殖していないの?できないの?完全養殖は?素朴な疑問にプロがお答えします

※本記事中の『イワシ』はマイワシを想定し執筆しています。

イワシは養殖していないの?できないの?完全養殖可能?素朴な疑問にお答えします

マグロの完全養殖やウナギの産卵場所解明、寿司ネタとしての養殖サーモンの台頭などで、養殖について一般の方もニュースなどで知る機会が増えたと思います。

いろんな魚が養殖されている中、こんな疑問も浮かぶ方もいらっしゃると思います。「イワシって養殖していないの?」

イワシは養殖されていない

イワシは日本人、いや世界の多くの国にとって重要な水産資源です。結論から先に申し上げますと、食用のイワシは養殖していません。その理由をいろんな視点から見てみましょう。

しかし、イワシ自体が養殖されていなくても、イワシは魚の養殖や漁獲に大変深く関わっています。その点についても解説します。

採算が合わない

日本の養殖魚の代表的なものといえば、ブリやカンパチ、タイやヒラメなどが挙げられます。どれも家庭で日常的に食べる魚というよりはハレの日などに食べる高級魚ですよね。つまり、養殖される魚は基本的には高級魚なのです。

養殖されている魚は基本的に高級魚ばかり(写真はマダイ)
養殖されている魚は基本的に高級魚ばかり(写真はマダイ)

養殖魚とイワシの価格差

魚を養殖する理由はいくつかありますが、安定して安価に生産するためというのが大きな理由です。上に挙げた魚種はすべて安くても最低1kgあたり1,200円以上で流通しています。

一方のイワシはというと、缶詰や加工品として流通しているようなものは1kgあたりなんと数十円ということもあります。すごい違いですよね。

毎日たくさん漁獲されることで安価に流通するものだからこそ、イワシは養殖されることがないのです。

プランクトンを生産するのが困難

イワシの餌となるのは、海中に漂っているカイアシ類という甲殻類を中心とした動物プランクトンです。養殖魚の餌となるものは基本的には安価であることが求められます。

動物プランクトンを生産すること可能ですがコストが高いため、養殖のイワシを生産したところで非常に高値になってしまうのです。

養殖魚の餌としては大活躍

イワシ自体が養殖されることはありませんが、逆に養殖魚の餌としてイワシが広く利用されています。

イワシはフィッシュミールの原料

養殖魚の餌は現在フィッシュミール(魚を乾燥させて砕いた魚粉)を配合して与える場合が多いです。イワシはそのフィッシュミールの原料として利用されているのです。

旬の時期には脂がのって栄養たっぷりになるイワシは、養殖魚の成長を助ける餌としてピッタリなんですね。

養殖が研究されているイワシがいる!?

冒頭にイワシは養殖していないと述べましたが、実は1種だけ例外があります。これを知っている人はまさにおさかな博士、学者レベルの知識量でしょう。

カタクチイワシは養殖の研究が行われている

カタクチイワシといえば成魚は煮干しやオイルサーディン、稚魚はしらすとして利用されている、せいぜい体長15cmくらいの小さな魚です。食材としては決して高級な魚ではありません。むしろかなり安価です。

カタクチイワシはセグロイワシといも呼ばれています。これが養殖される…?
カタクチイワシはセグロイワシといも呼ばれています。これが養殖される…?

そのカタクチイワシの養殖が研究されているなんて不思議ですよね?理由は下記のとおり。

カツオ漁の活餌で1kg数万円!?

カツオの一本釣り漁を映像でご覧になった方は多いと思います。次々に釣り上げられていくのは見ていて壮観ですよね。

そのカツオ漁にはカタクチイワシの活餌が欠かせないのです。漁船は漁に行く前に、餌場(えさば)と呼ばれる場所で活きたカタクチイワシを仕入れ、船に活かしこんで漁に向かいます。その価格がなんと1kgあたり数万円にもなることがあるんだとか。

カツオの成魚は1箱に2尾入っている場合も多いが、マグロの成魚は1箱につき1尾
カツオ漁に活きたイワシは欠かせないのです

カタクチイワシは『鰯』という字のとおり非常に弱く、水族館でも長期の展示が困難といわれているレベルです。安定した供給が難しいことから高値になってしまうようです。商業的に養殖が成功すれば、カツオ漁にとっては喜ばしいことですね。

まとめ

・食用としてのイワシは養殖されていない
・養殖されていない理由は魚価が低く養殖コストが合わないため
・カツオ漁の活餌として利用されるカタクチイワシは研究が進んでいる

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